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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1817/2354

- C 690話 悪役令嬢の進撃 20 -

 シリンダーの中に浮かぶ“おっさん”は自身の死を覚悟してた。

 遅延性のウイルス感染は致命的ではない。

 ボクたちと談笑しているうちに中和に成功し、アナウンスでも『コンピュータウイルスの耐性強化』を獲得したって流れてた。が、同時に備蓄してたリソースの半分を、この耐毒性スキル取得に傾けてしまったようなのだ。

 これは無意識にだ。

 その御蔭で、アナウンスからは()()()()、大事なことが告げられた。

『世界を変革する特異点ちからを失った』と。

 つまり、強烈な死の体験で作り出された“感情”を糧に、充填してきた魔力が無くなった。

 聖櫃曰くの“世界の反転”だけども。


 その失敗が告げられた。

 けども、シリンダーの中の自称“神”は誇らしげに嗤う。

「ああ、これで静かに眠れる」

 そんな言葉をつぶやいてた。


 電気の放流が聞こえる。

 体感的には“バチバチ”って感じので、火元は消したけど。

 そもそもの方は、ね。

 両手斧が刺さったままの箇所――火が上がる事は今のところはないけども、考えてみよう。シリンダーの中の人に、電算機が計算力の一部を使わせてくれている...そもそも何故、自死を覚悟したのかと。


 アナウンスが頭の中に流れる。

 生命維持装置の電力供給が立たれました、続いて蓄電池からの供給に切り替えます、と。


 シリンダーを回転させて、斧を見る。

「いいとこ刺さってんなあ、あのバカ娘が」

 人らしく毒吐いた。

 念動力を使って、()を浮かすことは可能だ。

 自己メンテナンス用のスキルだったが、力の強弱なんてレベルでなく深く食い込んだ斧。

「...っ、く、抜けない」

 試さなかった事はない。

 いっそ、エサ子に頼んで抜いて貰えばよかったが。

 いや、彼女なら『ヤダ』って返事してた。

 こじらすとその場で、仰向けに駄々を捏ね始める面倒さ。



 いつか前の“魔界朝市”でも。

 おばけサザエの壺焼きが食べたいという事で、駄々を捏ねた。

 その場をぐるぐるとみっともない醜態を。

 だめだ、ボクの精神が侵される。

「アナウンスさん?」

 返事はないけど、耳を傾けている様子。

「我、いや、この遺跡の寿命は?」


『...すでに崩壊の危機にあります』

 あの間はなんだったのか。

 いや、必要ないか。

「そっか...施設的にも...無事なコトはないか」

 やっぱり諦めた。



 アロガンスの操縦で8輪式のゴーレム装甲車が悪路を走破していく。

 何でもない訳じゃない。

 操縦席以外の部屋は、縦横に揺れる中でめちゃくちゃだ。

 物騒な火器や武器は固定されてあるから無事だけど。

「待ってろ!! ウナ子ぉぉぉぉぉ」

 俺の女ぁー!!てのが口の中を噛んでまで吠えた言葉だったようだ。

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