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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1816/2359

- C 689話 悪役令嬢の進撃 19 -

 空調システムってのはわりと頑丈だ。

 いや、そういう施設が、だ。

 例えば...施設内で火事が発生する。

 消火剤を撒けばいいけども、それでは無傷の機械にまで悪影響がでる。

 そういう時に、換気扇は室内の空気そのものを輩出して、真空化させるという。

 ま、やり過ぎれば――また、壊れる原因になるんだけども。

「内側から壊すとしたら」

 いや、それよりも。

 部屋の空気が減ってる可能性が怖い。

 一度に百人近くが入ってしまっている。

「この人数でも余裕のように思われますが?」

 顔色の優れない兵士たち。

 元ゾンビで、今不死者ってだけ差し引いても、顔色がいいとは思えない。

 こんなもんですよって...

 元々の不死者が近くに居て、そんでその彼らが浅黒いんだとしたら。

 そう、それはボクの気のせいで済む。

「吸血鬼が宇宙服も無しに、或いは海中へ潜水服も無しに呼吸...いや、これは馬鹿げてるけども。生存活動が出来るというのならば、ボクの取り越し苦労かもしれない。でも...」

 長身のハナ姉を見上げるように、低身長のボクらが膝から崩れた。

 気にはしてたのに。

 足元から空気が無くなった?!



 陣地にて。

 気を揉んでたアロガンスの背中を押したのが、エリンギみたいな頭の船長だ。

 シイタケだのタケノコだのという頭の船長が多い死神たち。

「いいのかい? 鍋の具材の旦那???」


「鍋には、入ってないが。...気がかりなのだろう?」

 押した理由は、至極単純で簡単な話だ。

 この数日――

 陸上に押し寄せるゾンビも湧かなければ、それを襲う魔獣たちが消えたことだ。

「嬢ちゃんたちは足を無くしてる頃だろ? この状態が...作戦の成功だと考えれば、アロガンス将軍の行くべきところは自ずと、()()であろう!!! 気を付けて」

 シイタケ頭の船長も、だ。

 ただ、見回すと。

 アロガンスの目が細くなる光景が。


 こう、砦周りが殺風景と言うか。

「それじゃあ...達者でな」


「ちょ、待てよ()()()()たち」

 海の死神を捕まえて、

 おっさんとフレンドリーに声を掛けられるのは、世界広しと言えどアロガンスだけだろう。

 魔王十席筆頭、フンドシの将軍...肩書だけでもその武威が轟く()()

「あ? ああ。帰るんだよ、もうこの海は静かになった」

 死者がざわめくというのならば、

 島の東側を指さして...

「あっちの水死体どもの回収が急務だろう。陸の死者はそれこそ...ほれ、首のない騎士のヤツが居るだろ? アレに任せておけば。今夜中には奇麗に掃除して帰っていくだろ。そういうのがマメな面白みのない男だからな!!」


「首なし騎士には、男しかいないのか!!?」

 タコ頭の船長が中腰で踏みとどまった。

 抱えあげた荷物を水夫に流して、

「いや、女性騎士レディフェンサーもあるが。あっちは、此処で言うのも憚れるが...あの長身で胸の大きな、腕っぷしの良かった娘よりも“化け物”だぞ? 悪いことは言わぬ。これは年長者からの有難い忠告だとして...アレに手を出すなよ?! マジで」

 乳房はウリのようにぶらさがり、指に吸い付くような“()()()()()”なのだが、如何せん常識しゃれの通じぬ堅物ゆえに~とか鼻歌なんだわ。

 そんなの聞かされたら。

 好色家のアロガンスに灯が付かない筈は無い。


 例えば、隙あらばで...エサちゃんの蒸れた足を嗅ごうとする。

 いや、潜水艦オウルから揚がった後、二人旅で――そういう仲になったようだ。

 うーん...これはNTRなのか。


 んで、本命のウナちゃんにはちょっかい出すことなく。

 死も覚悟して、ハナ姉の腋の下を嗅いだって言うんだわ。

『フルーティ! たとえるなら、柑橘系の』

 そこで意識が飛んだとか。

 顔面殴打。

 リスポーン地の装甲車内で目が覚めたという、死んだんだ。




 イカ頭の船長が触手をうねらせ、

「行くなら早い方がいいぞ、将軍。上の連中も異変には気が付いているようだからな?!」

 上ってのは、飛行中の“コウテイ・マンタ”たち。

 ウサギ艦長らだ。

 通信を繋げると、

『今、遺跡周辺の崩壊を検知した!!』

 だ。

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