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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1815/2358

- C 688話 悪役令嬢の進撃 18 -

 地図の向きは、余程のことがない限り。

 展開された上下が“北と南”にセッティングされる。

 右が東で、左が西。

 ボクの浅い知識でも、これくらいは。

「マル、ちょっとおいで」

 ん?

「私が何だって?」

 殴られて、吸われた!!!!

 べふって頬をぶたれてからの~、ボク吸い。

 首筋に顔を埋めて、鎖骨から何かを吸いこんでる。

 こ、これは斬新だけど。


 ハナ姉、マジ痛い!!



 セルフ・アフターケア。

 DVをする人にやりがちな「ごめんよ、次はしない。今度こそ、本当に次からは暴力はナシだ。絶対、だって()のことが、大事なんだよ。だから、信用してくれ」って、唇を歯で切って血が出てたら異常なまでの猫なで声になって、ケアとフォローしてくれる。

 いやいや。

 それは単なる自分勝手な、罪滅ぼしと言うもので。

 再犯は確実だ。


 そして――ハナ姉もその気があった。


 今、ボクの鎖骨に顔を埋めてブツブツ呟いてる。

 最早、呪文のように。

 一定のストレスで、人は豹変する。

 この場合のハナ姉は...

「よし、マル充足率100%に到達!!」

 ボクから義姉が離れていく。

 と、立ち止まって。


 エサ子も唇に指を這わせて、

「や、充足率が急に下がってきた」

 壊れたバッテリーかな?

 ハナ姉は再びボクの首筋にしゃぶりついてきた。

 いああ、ふやけるよ~

「A子、突貫しまーす!!!」

 ハナ姉に頭突きをかましてきた、命知らずがある。

 浜辺から、ボクたちに攻撃してたあの、A班班長・A子さん。

 ボクと大差ない()()()()と、()()を持ち。

 おかっぱ頭の珍しい女の子。

 普段から少年に間違われるようで、乳の大きな女性に『死ねばいいのに』と毒づく性格の子。

 今のところ、一緒に戦ったエサ子とは親友になったという。


 ま、エサちゃんもリアルでは、いちヌケしたって話だけども。

 ここのアバターでは未だ未発達部分は多い。

 アンダーな茂み具合とか、貝合わせとか。

「こら!! 何を」

 マル吸いを邪魔されたハナ姉は激怒。

 状況を整理しよう...

「ボクたちは今、迷子だ!」

 誰かが言い出すタイミングがあった。

 ボクに皆の目が集まる。

「そして、ハナ姉が指さした部屋は...点検シャフトではなく、どうやら空調室のようで。実に不安なことだけども“凶悪な6枚羽”がゆっくりと、逆回転し始めているように思う」

 確か、自称“神”だと言ってたシリンダーのおっさんは、だ。

 エサ子の粗相の排出の為に、空調の操作をしてくれた。

 さて、その空気の循環はどういう向きだったか?

「部屋の空気を外に排出して」

 逆回転している換気扇に視線を移す。

 そう、迷ったのはいい。

 これから挽回すればいいのだから。

 気圧の維持もあるだろうから、入る時は扉は簡単に開いたけど...

「マルさん! これ開きません!!!」

 だよね。

 そうだと思った。





「みなさんに残念なお知らせがあります。ボクたちは、空気が排出される部屋に入ってしまいました」

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