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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1809/2354

- C 682話 悪役令嬢の進撃 12 -

 四枚羽が回転することで、浮遊し続ける“簡易観測器”が打ちあがってる。

 打ち上げは、10分前のことで。

 セイル上部から射出した。

 個数は2基で、左右等間隔の自立作動。

「なんで観測器を?」

 モニター前の魔術師から問われ、

「尻に火を点けさせるために、ですかね」

 ちょっと意味不明なことを告げた。


 ヴィヴィアンの位置は未だに不明瞭だ。

 魔術師も、彼女の見えないところで部下に指示して――目下、追跡の最中にある。

 素直に合流する気であれば、現状況のすり合わせをするものだけど。

 互いの近況報告程度くらいしか...

 言葉を交わしていないのが、よくない。


 冷めた表情の魔術師は。

「なあ、何がしたいんだ?」

 直球で問うてみた。

 互いのモニターには、互いの探り合う表情が浮かんでる。

 部下たちも目端でその様子に気を配り、

「さあ...なんとなく。出来たらいいなと...」

 心意は分からないが。

 魔術師から言えることを告げることにした。

「総長が攫われた」

 深刻そうな表情はそこ。

 で、穏やかかつ人を喰ったような飄々な雰囲気があった、ヴィヴィアンがキレるのも瞬間。

「あなた、...っ、バカですか!! もっと早くにそれを。何故、」


「ん」


「何故、あの人をひとりに。信じられない!!」

 ライトテーブルの下部を蹴り飛ばす。

 ブーツの中がジンジンと痛む。

「な、にえお怒って」


「今から合流します! 場所は、どこへ向かえばいいですか?!」

 今までのやり取りが吹っ飛んだ。

 いや。彼女なりに総長と魔術師が、仲睦まじく過ごせる時間を作れるようにした。

 つもりだった。


 ああ、何やってんだ。

 彼女の胸中は複雑。

「座標は送ったが...なんなんだ、お前は?」


「もう、魔術師ガントこそ! 総長ねえさんを護る騎士ナイトじゃないんですか!!!」

 ブツっと映像が途絶えて、交信が切れた。

 カイザー・ヴィルトの世界図に“湖の乙女”号の正確な座標が点る。

「姉妹ごっこ......じゃ、ないのか?」



 さて。

 聖櫃の皆さんが楽しく、会話中の最中。

 遺跡内部に閉じ込められたボクたち。

 蓋を閉じたのは、ハナ姉とエサちゃんなんだけどさ。

「301の方々は全滅ですか」

 409とて、残存兵力としては多い方でもない。

 しかも魔物に進化したので、元の機関に戻る事も出来ない――いあ、そこは言質を取って、ゾンビだったのを別のナニカに変化させたわけで。第二の住処はウナちゃんの方で用意してくれるとのこと。

「確定ではないけどね!」

 そこは、どんと任せろでしょ。

 ほら、コロネさんたちが不安そう。

「いえ、お腹すいちゃって」


「あ、そう」

 全裸のおっさんを囲む急な食事会となる。

 うーん...貧相なソーセージを見ながら? ありえない。

「とりま、施設が動かないってんなら。帰還を考えるべきじゃね?」

 閉じちゃった唯一の通路にどうやって。

 死体の肉壁を拳で破壊する。

 なんて、ハナ姉なら屁でもなく。

「いやだよ、それ私が汚れるじゃん」

 気にしない人だと思ってた。

「あのなあ、マルのナニを被っても私にとっては、ご褒美だが! エサ子やウナの場合は罰ゲーム程度、さらに他の者なら最悪な地獄ってことだ。そういうデリケートな話だからよ、義妹よ...優しくしておくれよ~」

 最後はお願いされた。

 でも、施設の壁に穴でも掘る?

『そんなことなら』

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