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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1804/2357

- C 677話 悪役令嬢の進撃 7 -

 公爵令嬢から“尻を叩け”と、依頼されたサバ公爵領の領都警備の騎士らは、公国の外務省から外交上の正式なルートで、令嬢の理不尽な要求を突き付けた。少なくともそこに至るまでは、外交問題にならない様に、細心の注意が払われてのことなんだけど。


 結果から話そう。

 外交問題に発展した。


 無理だ。

 無理に決まってる。

 サバ公爵が公国と言う体裁をもっていても。

 ヴェネツィア連邦というグループの中にある自治権が認められているに過ぎない、国家だ。

 いやあ、厳密には公爵が治める領地の一つ。

「なぜ、儂らが顎で扱き使われなきゃならんのだ!!!」

 至極ごもっとも。

 ウォルフ・スノー王国から派遣された、大元帥閣下の怒声はブリッジの外にまで届く。

 中にあった人々はすべての業務を中断して、耳栓で耐えてた。


 中欧各国がそれぞれに国元へ仔細確認という電信を打ち。

 その抗議文は宗主国であるヴェネツィア連邦に向けられた――かの宗主国は、ただただ混乱したであろう。何せ、サバ公爵の子息、息女ともに記録上は墓の下というのだから。

「いやあ、何かの間違いでは?」

 ヴェネツィア連邦外務省の返答は()()()()ものだ。

 公爵は傷心の為にカリマンタン島へ渡ったという。

 しかも、皇籍から自らを抜くという処置をしてだ。

 故に封号であり、爵号の公爵は名誉のひとつとして残されたフラッグのようなもの。

 権威めいたものはなかったという。



 おやおや。



 西カリマンタン島の沖で、停泊している艦隊らは錨を揚げかけて――

 海に放ったところ。

 提督たち幕僚の感覚的には『な~んだ、そんな。そんな...もん?』と拍子抜け。

 何に怒ってたんだっけ?

 とも、緩くなる。

 再び、上空警戒に移行するんだけど。

「じゃ、カリマンタン島の主人ってのは...」

 誰なんですかねって声が飛行艦橋で呟かれた。

 伝声管の蓋は閉じておこう。

 戦闘指令室に詰めてた提督の耳に入る。

「ほぅ~む」

 変なこと考えたぞ、この人。



 とりあえず気味の悪い警告灯の下に集まったボクたち。

 手荷物の検査をしてみると...

 混ざり合ってた時には気が付かなかったが、ウイルスの入った小瓶が1,2本無くなってた。

 ボクも1本は使って“退避時間を稼ぐための仕込み”を行ってた訳だけど。

 その調整という段階で――彼に引き剥がされた訳だ。


 だから最後まで仕込めたか分からない。

「じゃ、例えば...さ」


「ん?」

 エサちゃんが濁声で、

「別の時間軸...いやさ。世界線のマルちゃんが仕込んだ、とかは?」

 まさか。

 そんなSFちっくなこと、ないない。

 この世界なんてユーザーさまにのみご都合主義で動いてて。

 ボク達みたいなNPC紛いのに割くソースなんて無いからね。

「じゃあ...あれか」

 指さされたコンソールの壁に両手斧が刺さってる。

 皆の目が点になった瞬間だ。


 だれだよ、ここに刺したの!!!

「そりゃ、エサ子意外に誰が、する」

 ハナ姉の呆れた声音。

 最初に疑ったことを未だ根に持ってる。

 うん、これは暫く尾を引きそうな予感だ。




 まあ。

 それはいい。

 それぐらいなら。

「これ、絶妙なとこに投げ込んでますけど?」

 コロネさんが斧がめり込んでる箇所をほじってみてる。

 目が細くなってるとこ見ると...

「知ってて?」


「んなあ、ことは」

 ですよね。

 ハナ姉の呟きは、ボクのよりも重用されるか。

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