表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1800/2367

- C 673話 悪役令嬢の進撃 3 -

 中欧艦隊は、ただ、放置されてたわけではない。

 上空に待機している、ボクたちの()()()に気を揉んでたのだ。

 足掻いても届かない高度にある巨大な物体。

 まあ、あれだよ。


 気が付かないフリをして。

 その場をやり過ごそうと思えば、何でもないんだけど。

 たぶん、ぶんぶん飛んでるハチみたいな存在だと思うと――いつ刺されるかっていう恐怖がある。勿論刺されると、妄想しちゃってるだけなんだけど。


 うーん。

 気が気じゃない。



 じゃあ、誰が()()()に居るんだろうってなる。

 秘密主義が過ぎる連中は、わりといた。

 スカイトバーク王国。

 ナーロッパ全体から見ると、多くの冒険者を輩出してきた眠れる獅子みたいな国。

 国力は大きい方じゃないけど、人材は豊富。

 やらかした可能性は十分にあった。


 次に、

 グラスノザルツ連邦共和国。

 帝政時代の遺産と、強力な軍隊を率いる欧州最強の国家だ。

 中欧最大版図の領地も健在で、すべての人が“黒”だと思っている。

 現在、優秀な指導者不足が悩みのようだ。


 さらに次点では、

 ブレンツィア連合王国。

 高度な錬金術だけが有名で、実態が知れ渡らない南欧の不思議国。

 置時計や懐中時計などの工芸品が市場に出回り、ナーロッパ全体の文化を押し上げている。

 今までの付き合いからすると。

 散々、飲み会に誘ってきたのに――

 唐突に参加表明したような怖さが此処にある。

 ま、他意は無いんだろうけども。


 こういう人って、ちょっと怖いよね。



 南欧艦隊は臨戦態勢のままにあった。

 水上器母艦ウイッチクラフトの平甲板には、防寒服に身を包んだ魔法少年たちが待機している。

 教導指揮官器コマンダータイプの隊長らは、喫煙所に籠りっきりで。

 ガス室よろしく排煙が追い付かないといった感じ。

 少年たちが定期的に喫煙所へ報告しに行くんだけども...

 先輩から

「ガスマスクは忘れんなよ? あそこ、煙が凄いんだ」

 とか。

 定期報告しに来た少年には、

「おし、ご苦労さん。...奥に湯を沸かしてあるから、珈琲を好きなだけ飲んで帰れ」

 おしっこ行きたくなるんだけど。

 冷えた体に暖かい飲み物は、至高な喜びでもある。

 誘惑には叶わないんだよね。

「はい、ありがとうございます」

 元気な声音で返しちゃう。


 他の隊長たちも微笑んでる。

 けど、その幾分かの気は、上空のベースに向けられてた。



 公爵の持つ敷地には断崖と海がある。

 重犯罪や政治犯ら囚人たちの労働力をもって、邸宅の下に海へ抜ける地下水路が作られた。

 もっとも、秘密保持のために受刑者たちはすでに、処刑されてあるわけで。

 この秘密は公爵令嬢だけのものだ。


 あとは、彼女を信奉する“白服”の者たち。

 地下水路には港湾施設が設けられて、潜水艦基地のような状態。

 いや、潜水艦でなければ出航も難しい立地だった。


 何せ、島んも周囲を探る連中は多く。

 そのすべてに対処するのは途方もない労力と、リソースの無駄である。

 では、どうするか。

殿()()()()()は、もう宜しいのですか?」

 白服にエスコートされる公爵令嬢。

 物足りそうな雰囲気は残しつつ、

魔術師ガントが寂しがってるんじゃないかと...ね」

 桟橋から、船体に掛かる頃合いで。

 両手を煌びやかな髪に当てて、

 滑らせていくと――赤髪へと変化していくのが分かる。

 これも魔法。

 染色の~とは違うけど、風貌を変化させる認識阻害に似たものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ