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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1793/2367

- C 666話 遺跡をぶち壊せ!! 26 -

 はい、最深部にまで来ました。

 ボクはマル、彼女はウナちゃんです――「ちょ、誰に紹介してんの?!」ウナちゃんが、ボクのわき腹から顔をのぞかせてる。

 両腕の脇から頭を出し入れしてるけど、なんか面白い。

「いや、なんだろうねえ」


「...不思議な行動はとらないで。ハナさんもエサちゃんも今は、居ないんだからね!!!」

 少し前にふたりとは、別れた。

 彼女たちは、退路の確保と301さんらが突破された時の“壁”になると言った。

 予感は的中する。


 遺跡に入るまでが勝負だった、2度の襲撃とは違って。

 侵入を許した遺跡の本能的攻撃は、尋常じゃなかったって事だ。

 入口に積み上げられた肉の壁。

 最後の部材は、カイゼル髭が見事な旅団長だった――逝くその秒単位まで、太い腕と鋭い爪で壁に突き立て自分の肉体を晒して、鋼鉄の壁になって見せた。けど、狂気に満ちた魔人たちの猛攻にはちょっと柔らかかったようだ。

 ま、肉壁だし。

 鋼のような体毛と毛皮だからっても。

 抉られたら中身は、筋肉と脂肪と骨で出来た肉袋。

 喰い破られたら...


 まあ、ね。


『血の匂いがする』

 ハナ姉のシェイプシフトが解かれて、獣人化してた。

 金色に輝く体毛と、しなやかな七つの尾。

 ピンと張られたケモミミに銀や翡翠のピアスが飾られてて。

 妖艶な雰囲気のキツネの姿に、腕っぷしがゴリラ並みの化け物がある。


 人工ライカンスロープの301兵よりも体躯が大きい。

 えっと、義姉は女性だよね?!

「デカすぎ!!」

 対比のエサ子が小さすぎる。

 ハナ姉がひとりで遺跡の通路を塞げるサイズなので。

 エサちゃんが尻尾で見えにくくなって。

「あ、ちょ、尻尾...や、やあー もふもふするー」

 目的が変わりそう。

 409からも、A班が残ってくれはしたけど、ハナ姉が邪魔である。



 獣人化のままサイズダウン。

 それでも腕の太さ、上半身と大腿部の筋肉量は人狼以上の質量があった。

「アスリートじゃん?!」

 これは誉め言葉なんだけど、エサちゃんのこめかみに拳でグリグリが追加された。

「じゃれてる場合でも」

 A子も鼻を鳴らした。

 吸血種になって、血の匂いに敏感になったし。

 夜目も相当利くようになった。

 魔人たちの集団が、上階に差し掛かってた。

「分かってる、で。どっちが先?」

 ボクの友人たちが“じゃんけん”してた。

 これはまあ、一種のパフォーマンス。

 301とその他が全滅したのは分かってる。

「久しぶりに斧を使う事になるなんて、ねえ」

 エサ子が毎日素振りしてたのは知ってるよ。

 多分、潜水艦に乗ってるときも、陸に揚がってた時も日課みたいに。

 かつて大戦斧を獲物に無双してた、ちっこい化け物扱いされてた。

 今は、手斧の二刀流。

「じゃ、一番手は私のもんだあー!!」



 これらは遺跡の自衛能力だ。

 ボクたちは体の中に入った異物のようなもので、免疫が()()に過剰反応して、排除しようとしていると考えれば分かり易い。

「あ?! うちらは花粉!!!」

 まあ、そんな可愛いものでも。

「花粉は怖いんだよ、可愛くないよ!」

 かなり執拗に食らいついてくるから、ウナちゃんの実体験かな。

 やつらの特徴は、まあ、黄色い粉でべとべと粘着性があるような、無いような。

 無機質な()()に付着すると、ザラっとするような感じで。

 肌につくと痒みが出る人もあって。

 想像しただけで、口腔内が腫れたり、咽たり、涙が出たりする。


 訂正する。

 可愛くはない。

 奴らはマジで、可愛くはない。

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