表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1791/2368

- C 664話 遺跡をぶち壊せ!! 24 -

 遺跡に突入した301は、409に守護させるようボクらを遺跡内部へ送った。

 今も、入口際でサバ公爵の1000人と、陣地を作って専守防衛に努めてた。

 傷を癒したら、再び戦場に立つ。

 死んで躯に成ったら、バリケードの部材になる。

 そんなジリ貧な守戦なわけだけども。

「こんな戦も悪くはねえな」

 カイゼル髭の人狼がある。

 とうに人の姿を棄てて、背水の陣だ。

 腕に残る注射痕に、彼の覚悟が見えた。

「俺たちの()のは?」

 すべての公爵軍には試験薬が与えられてたけど、死亡後に発動する“種族進化トライド誘発剤”は、その効力がすでに限界をむかえてた。

 この時点で死んでも、ゾンビには成れても人狼の成り損ないに無理がある。

 あとは...

「奇跡でも信じる外」


「そうか。そうだな」

 少し晴れ晴れとした表情がみえ。

 死んでもこの先は通さない、覚悟はできた。

 代将のふっきれた気分に、友軍も引き寄せられて――「仕方ないですねえ」とか「ここは踏ん張り何処っすね」なんて声が自然と立つ。この気持ちは伝染するようで、人狼たちも襲撃者の爪や、牙を掻い潜りながら「人間が覚悟を決めたんだ! 俺たちが臆しちゃ、バケモンの示しがつかねえぜ野郎ども!!!」声も上がってた。

 この守戦に賭ける。

 ボクとウイルスに賭けて散る覚悟へ。


 一路、遺跡の地下へ向かった。



 暴走する聯合艦隊司令部に直上の元帥府が、制止する命令を出してきた。

 政府と後宮府も驚いたんだけど、参謀本部も機能停止しちゃってた。

 暴走させてた認識はあった。

 走り出した車にブレーキを掛ける時期の見計らいが肝だったようで。

「陸軍が()()を得ちゃったんだから、勝負は余の負けとなる」

 新しい肉体を得た、元帥がまっぱで陽光の中にある。

 陰ごしに揺れるキノコがゆらゆらと。

「んー、少し左に曲がってるな?」

 ぶらりと提げてるだけなのに、立派な太さを誇る。

 臣従している者たちは、元帥を直視してはならない。

 床に浮かぶ影越しさえも畏れ多いことなんだけど。

「やはり収まりが悪いな...皇子みこの血筋は、太いのも多くはなったが...被ってる者もおおいのな? ま、そこは割礼でなんとかするとして...だが。前の娼男しょうねんは抱けぬのだろ」

 傍らに立つ少女みたいな少年に問う。

 彼も首を垂れて、

「勿論です。すでに穢れに汚染された身。公主殿下の新しき身には、少なくとも従三品の貴族の血統が相応しかろうと推挙いたします」

 元帥のまっしろい腕が少年に伸びて、

「お前でもいいぞ?」


「滅相もありません、あね上さま。元帥府の威で、聯合をも鎮めることが出来なかった若輩者。黄泉がえりによりご帰還なされた、生誕祭ですので身内ではなく、ご馳走に舌包をお打ちくださいますようお願い申し上げます」

 丁寧な断り方だけど。

 生贄の青年たちは小刻みに震えてる。


 従三品の貴族と言えども功臣、外戚、身内からの男子となると、嫡男の場合が多くなる。

 皇子の血統で夭折した身体でも手に入りにくいのに。

 その血統からバケモノが摘まみ食いしたいからの理由で、嫡男を差し出す親も無いわけで。

 暴走しているのは元帥府だと分かる。

「この貧相な子か?」

 皿に上がってる少年たちは、まだ、子供だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ