- C 663話 遺跡をぶち壊せ!! 23 -
「な、なんだと?!」
謀神の次に力ある魔法使いの怨嗟みたいなのが思念で飛ぶ。
何かの壁に当たって、飛散したけど。
副班長の力じゃない。
ってなれば必然――
ドゥは謀神のモブ子を睨んだ。
「ボクが拘束しているとはいえ、君がどうこうしてもいいという訳じゃあない。工房らはギャラリー、観測者であって舞台に上がっているキャストでは無いんだよ。君とボクだけの劇場だから、観覧者の安全は守らせてもらうよ?」
舌打ちが聞こえた。
まあ、それでいいんだけど。
「観覧者諸君、私語はべつに構わないけど。ドゥ君を怒らせないであげてくれ...創成期に躾けてくれる大人たちに恵まれなかった、数百歳の大きなガキなんで。言動の至らなさは大目に見て貰えると...有難いかな」
物凄い大きな、挑発だったように思える。
わざと怒らせてるような。
「ふん、大層な物言いだ」
拘束具のせいか、右に左にと動き回るせいでか。
マキの乱れた服から柔肌がのぞく。
やや汗ばんでいる様子で...
それはとても美味しそうな雰囲気の~
桃?!
◇
金縛りにあっているシジから、
「あわわわわわわわわ...」
なんて他愛もない声が発せられた。
皆の視線が宙に泳ぐ。
顔のパーツだけは自由に動かせられるから...
咄嗟とか、
いや凝視してた子もあるだろうけども。
そんな彼らがシジの声で我に返ったのだ。
「唐突にギャラリーが大声出してるぞ?!」
気が付いてないのはドゥ本人。
足の拘束具にイラっときて、今、放り投げだしたとこだ。
スカートも、支給された服は重くてイライラする。
「今のはノーカウントだよ」
「何がだ」
「だから、ノーカウント。君の方もカチンときた調子が狂わされて、単にイライラしてるんだろ?(ドゥは見透かされたことに苛立って、明後日へ顔を背けてた)...可愛いねえ、君。うんうん、大体のことは腑には落ちた気がするけど、動機かな...わかった気がする程度に、ね。でも、聖櫃は何がしたかったと思うかな?」
マキの身体がぴくりと動く。
小さな振動みたいなもんだったけど、ドゥの心が動いたもので。
ドゥがゆっくりとモブ子の方へ振り返る。
椅子に固定された彼女の身体も制服に大きな皺を作りながら、動き。
第一ボタンが弾け飛び、真っ白い肩が顕わになって――上乳房が、直立不動のギャラリーへ見えるようになると――『わああああああ!!! ドゥさんストーップ!!! 見える、見える、見えるぅー!!! ヤダー、お嫁に行けなくなるーぅ』って思念が拡散した。
この場にいる工房内の人々に届く、強烈な思念波だった。
謀神の方は大爆笑だけど。
ドゥはぴたりと、動きを止めて。
シジも例の如く大声を上げてて。
D班の副班長は目を固く閉じてる様子。
「俺は見てないぞ、マキ!」
とか、余計なことを宣言していたけど。