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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1787/2360

- C 660話 遺跡をぶち壊せ!! 20 -

「こんなこともあろうかと! 実はここに稀代の魔法使いが居るんですよ!!!」

 魔法使いでアバターを登録した覚えはないけど。

 造船技師の肩書の他に“湖の魔女”なんて称号が光ってた。

 これは後日、自分のステータスを見て発覚したことだ。



 陽が昇る。

 教会まで下がったエサ子とハナ姉は、狩に出た。

 と、いうのも合流して分かったんだけど。

 魔導旅団らが決死の作戦に至った理由が、備蓄してた食料の不足からという。

 遺跡の破壊が単純な仕事ではない事は、承知してたけど。

 都市内部に入れば、危険は少ないとみてた。

 その見立てが完全に裏目に。


 まあ。

 そういう事もあるよ。

 備蓄してた物資と負傷兵は、跳梁跋扈する魔物たちに落とされた。

 陽が落ちると、消えるので実害は昼間だけ。

 狂暴な性格な上に匂いとか、音に敏感なので厄介な存在だった。

「肉ぅ?!」

 これを喰えとって、彼らはあからさまに“魔獣の死肉”に嫌悪した。

 まあ、見た目はマジでグロい。

 ボクでも抵抗があった。


 スライムに成れば、なんでも溶かして食べられるのに。

 魔獣一匹に戦慄を覚えたのだから。

 当然、他人よそさまもそういう反応になるだろう。

「先ずは食ってから文句を言え!」

 狩りをしてきたハナ姉はガサツさで押す。

 強引に「私が手ずから食わしてやろうか?!」なんて威圧もしてた。

 そんな態度だと、嫁の貰い手が。

「構わんさ、私はマルとエサ子のホームに転がり込んで、時に適当に働いて養ってやるから」

 冗談だと思うけど。

 いや、なんか目がマジに見える。

 肉を焼けば、香ばしい匂いが立ち上がった。

 やや飢えているから、腹が鳴るのは分かる。

「こ、これは生理現象だ」

 カイゼル髭の旅団長の負け惜しみ。

 でも、同時に匂いに誘われて魔獣が寄せてくる。

 教会の鐘楼に翼のある生物が取り付く――グリフォンか、或いはヒポクリフか。

「ま、これは鳥の味かな?」

 ハナ姉は素手で殴り倒して、男性陣顔負けの太い腕で魔獣を締め上げて殺害。

 いや、マジでゴリラ...。

「あん?!」

 おっと、獅子の尾を踏むとこだった。

「先ずは一匹、試しに焼いてみたけど...わりと向こうから()()が来てくれるのは助かるね。一階のエサ子はどんな具合だい?!」

 鐘楼はかつて吊ってあった鐘が損壊して、吹き抜けの大穴をこさえて。

 その穴から下階のエサ子まで、よく声が通る造りになってた。

「OK! 侵入経路をひとつに絞れば、厄介な相手もご覧の通り」

 サバ公爵軍でも撃退が容易。

 急場しのぎで錬金された、()()()()で。

 幾方向から獣の動きを封じれば、あとはエサ子の大戦斧で首が飛ぶ。

 これで、ゾンビを食べる魔獣だと思い出さなければ――新鮮な肉の確保が容易になった。



 陽が沈むのを待ってからの作戦が開始される。

 決死というのは当初から変わっていない。

 戦力が増えたとは言っても、十分に打ち合わせと練成を積んで臨めた訳ではないからだ。

 一発の出たとこ勝負に賭ける大博打。


 自信満々にハナ姉あたりが...

「大船に乗ったつもりで、任せときな!!」

 なんて威勢よく吐きたがるものだけど。

 この時ばかりはそんな大言壮語は、吐かなかった。

 彼女なりに分かっているのだ。

「マルちゃん」

 やや心配そうにエサ子がボクの袖を引く。

 この元気だけが取り柄の娘も、神妙になるか――そんな風に思ってた時がボクにもありました。

「ハナ姉さま、寝落ちっぽい」

 あ?

「え、あ?!」

 昼間はさんざん暴れた。

 それこそ腕で絞め殺した獣の数は尋常ではないし。

 彼女の胸筋みたいな脇乳に、顔を埋めながら昇天した魔物に同情する声もあったほど。

 殺し過ぎで、コロネさんたちが燻製だの干すだのと言って、別の仕事が増えたって嘆いていた。

 そんな重機関車なハナ姉が爆睡してた。

 ログアウトしている気配はない。

「ちょ、ちょっと起きてー!!!」

 殴られた。

 寝覚めの悪い義姉を持つ妹は大変である。

「ぐーで殴るか普通!!!!」

 くそー

 起きろよ、このゴリラが!!

 思いっきり殴ったら、カウンターで締め落された。

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