表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1784/2367

- C 657話 遺跡をぶち壊せ!! 17 -

 まず結果から報告しよう。

 “301”魔導旅団は2度の襲撃を企図し、実行して2度とも手痛い反撃に遭遇った。

 遺跡にまでは近づくことが出来たのだけども。

 良くないのは、遺跡の防衛機能だ。

 謀神のハッキングによる管理者権限の移譲が、大きな壁となって立ち塞がってたのだ。

 まったく余計なことをしてくれたものだ。


 カイゼル髭の旅団長は、左の額から頬に掛けて深い爪痕を刻まれた。

 獣人化して抉られた肉と眼球の再生が間に合わなかったら...

 視力を失うだけでは、済まなかったかもしれない。

「さて厄介なことは」

 兵力の損失だ。


 旅団の方は本拠地に戻れば兵の補充が効くので。

 301が仮にここで全滅しても、特務機関本体は何ら痛手ではない。

 城内にある“幽室”と呼ばれる場で、蘇生魔法が唱えられる。

 原理や術式は公開されないけども。

 どこで死んでも、部隊員は必ず()()()()()()の肉体に魂が宿ると、教えられてきている。故に“300”番台の兵士たちは“死”に対する価値観や捉え方が、他人事のようなとこがあった。

 記憶か、或いは記録の継承が可能であれば、全滅しても部隊としての損失は小さい。

 そんな考えにも至るんだろうけども。

 でおれでもだ...

 特務機関にある魔術リソースは消費されるのであって、増えない分。

 痛手はちゃんとあるように思われる。


 とはいえ。

 それで遺跡が止められるのであれば――

 たぶん、安い手間賃だと言えるかもしれない。

「そんな考えなんですか?!」

 驚愕しているのは、抉られた傷痕が痛々しい人間たち。

 サバ公爵軍の“戦える兵士”たちだ。

 もう、1000人も残っていないんだけど。

 それでも心は折れていない様子。


 見どころのある屈強な兵士。

「いや。死を前にすれば脚は竦む...膝が笑って、先ずハートが折れそうになる。どんなに強靭で鋼さえも通さない肉体を得ても、だ。やっぱり最後は気力こころなんだと思うし、騙しちゃあいるが我々だって好き好んで死にたがる奴はいない」

 だって、人間だものってのが皆の心に響く。



 戦力の半減。

 それでも再び、遺跡に挑もうとするのは“兵士だから”。

「任務、だからですか?」

 ちょっと質問が多いなとは思った。

 サバ公爵軍の戦える兵士たちも、死にたがり屋ではない。

 各々で301の隊員たちに話しかけて、談笑し、盃を交わす。

 恐怖心からは逃れられない。

「あ、いや...こればっかりは意地だよ」

 カイゼル髭が下がる。

 顎を掴んで、撫でて苦笑する。


 なにが面白いという訳じゃなくて。

 面白いことが無くて嗤った。

「遺跡、術式を壊すには管理者としてアクセスするか...」


「物理的に箱を壊すかですね?!」

 手持ちのウイルスで仕掛けるにしても、ソフトに打撃を与えるにはメインのサーバールームから直接、投じる必要がある。ただし、一筋縄では難しい。

 遺跡にはダミーの操作パネルがあって。

 それがすべてに見えるような施設がある。

「施設の周りにも昼夜問わずに魔獣がいます...幸い、有限の数ですから突破は難しくないとして。内部、内部構造が分かりません!!!」

 代将は先の戦闘で片腕を肩から失った。

 ポーションで一命は取り留めたけど。

「君も来る気か?!」

 代将は肩を竦めて「この身体が動くうちはお供しますよ。だって、この地を取り戻すのが公国人の悲願なんですから」と、微笑んでた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ