- C 651話 遺跡をぶち壊せ!! 11 -
――パン工房の奥。
捕縛されたまま、壁にもたれかかる魔女の姿がある。
腕は背中へ、足は山折り、首に魔法封じの護りがセットになって、部屋のカドにかっちり嵌ってすすり泣くそんな姿――C班の班長と親友シジ、お得意様のD班の副班長は、彼女にどう声を掛けるかで悩んでた。
厳密には、彼なんだけど。
300年前の大魔法使いのプライドがズタズタだ。
顔に影を落として、
なんかブツブツ呪文でも呟いてるような雰囲気だった。
こういう人は怖いよなあ。
◇
表情が無いわけじゃないけど。
無機質な顔で、唐突にシジの方に首を振るマキ。
本人からも「虚無」とか呟いてる様子で。
「ちょ、怖いんだけど?」
目の焦点があってないから余計に怖い。
虚ろすぎ。
「この時代の魔法使いってのは」
ドゥが声を出す。
マキの方は、まだ眠ってるようだ。
「力量の事なら、見渡せば分かると思うよ?」
シジの言葉に班員たちの怯える目がある。
マキに向けられた嫌悪。
魔法使いが同業者に向ける視線じゃないのは分かる。
これ化け物を見ている者の目だ!!!
ちょっとだけイキれる雰囲気がある。
「お前たち」
ドゥの目に精気が戻ってきた。
マウントが盗れると思うと、げんきんな話だ。
てか、性格が悪そうだって話にも...
「センスがあるってだけで国中からかき集められた、魔法適応者の集団だ。その中でも“工房”は、術の解析と再構築、最適化を行う場で。世界各地に残る文献を収めた書庫も完備した迷宮の中だ...」
外からの攻撃も、内側からの攻撃にも耐えうる魔術強度を誇るゴーレムの腹の中。
世界有数の学び舎のひとつともいえたか。
「ほう...学生でもあるのか」
ドゥの精神体を抱え込んでも瑞々しい肉体が保てるマキの素体は、興味深いと思ってた。
単に彼女がもともと保持しているオドの量が常人の数倍はある故のことなんだけど。
そのバランスの悪さが疑問だったのだけど。
ドゥはそれを飲み込んだ。
「では、謀神とは?」
ざわつく生徒たちを見れば察しはつく。
加えて、そんな班員を率いる班長らの狼狽ぶりも。
名を出して心乱す相手となれば、
『相対する機会を伺ってたんだけど、もうここいらでいいかなって感じ?』
工房内に声が木霊する。
外からの攻撃も、内側からにも耐える強度が呆れるって話ではあるけど。
必ずしも“絶対”なんてことは生じない。
声の主は瑞々しい女性のものだ。
◆
パジャマパーティに浮かれてた“賢人会”の老人たちが、一斉に覚醒した。
脳髄に爪を立てられたような鋭い痛みを伴って。
「な、何事だ!!」
警報は鳴ってないけど、これは明らかな攻撃。
老人たちが飛び起きて後に硬直――霊障のような“金縛り”が発生。
城内のすべてに“スタン”攻撃を貰ってた。
「スカイトバークの魔女か!!!」