- C 646話 遺跡をぶち壊せ!! 6 -
簡易砦に運び込まれる物資。
お尻の受領スタンプを嗤うエサ子と、それに咽び泣くウナちゃん。
やめて差し上げなさい、エサちゃん。
いつかの貴方もそんな風に、嗤われるコトになりますよ。
それはブーメランです。
さて、黒幕と協力者だけど。
アロガンスは褌一枚、海上から一本の杭が生えた状態で、張り付けてある。
潮が満ちれば、水位は顎下になる地点に突き刺したから...。
道潮まで観察できそうだ。
「ふふふ、俺にこんなことをして」
うん、まだ威勢はいいようだ。
一時はタッグを組んでみせたハナ姉は、秒でアロガンスを裏切り彼を拘束。
「男の俺に力で――」
リキんで拘束を解こうしたけど、
ハナ姉の前では、どんな男も屈することになる。
勇者ベックと対峙した場合に編み出された、特殊な組手なんだけど。
マジで、オスというオスが骨抜きにされる。
たとえ魔人であるアロガンスも、オスであれば例外はではないということだ。
「な、力がヌケ、る...だと?!」
「この効力は一時的に非ず!!」
そう。
拘束対象者と言うのは、ママ、力自慢のオスばかり。
まあ、稀にゴリラみたいなメスも居なくはないけど。
そん時はハナ姉本人が抑え込むんで、問題は皆無かな「――ほう? マルも私をそんな化け物みたいに見てるんだ?!」って、解説しているボクの背後に悪寒が。
いやいや。
倉庫の在庫確認中のボクは、振り返って背後の気配へ。
「あれ? 何もない」
で、再び数え始めて...
真横からの視線に気が付くわけで。
「嗜好品なんだけどさ」
ハナ姉が、そこに。
ボーリングのピンのような形状の筒を手に持ってた。
それがアロガンスが要求した例のアレだが。
「定期補給時に幾らか送って貰ってるよ。アロガンスさんからのも要望したけど、結局のところ請求申請した8割しか通ってないんだよ。ボクが自分都合で何かを割り込ませてる訳じゃないんだよ、ほんと」
◇
潮が満ちてきたようで――
海側のさざなみに乗って、アロガンスさんの怒声が聞こえてきた。
まだ、もう少し元気が有り余ってるようだけど。
時々、咳込んでるよう。
コロネさんの部下が監視してる。
「顎下の筈でしたが、計算違いか或いは、思った以上に波が高いようで...死にそうですけど? 一度ゾンビまで...」
魔人のゾンビはちょっと不味そう。
「反省さえしてくれればいいんだけど」
母艦の方もこちらに仕置きを一任したので、追及はしないだろう。
ウナちゃんも心配そうにもじもじしてるし。
「いいのアレ、反省してないよ?」
そう微塵にも。
「堪忍だー!! 助けろ、チビ。いや、マジで助けて!!!!」
暴言と飲み込んだ海水に咽り、救援を請うては再び暴言が吐かれる口。
う~ん。
でも、ここで見放すという選択肢は、ないな。
「こ、こら!!カニ、カニが俺のエリンギにハサミを、ノォォォォォ!!!!」
カニだけじゃない。
海の生き物たちが、彼のエリンギへと迫るようで。
退屈はしないんだけど...
元気だなあ、アロガンスさん。
「そろそろ、助けますか」