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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1768/2367

- C 641話 遺跡をぶち壊せ!! 1 -

「ひとつ聞く」

 ああいいよ。

 てな、軽口のドゥには変な余裕がある。

 彼にはライバルがいた。

 いや、本人がそう思ってただけで――。


 ボクらは目端にも掛かって無いんだけど。

 彼にはライバルがいた。

「おまえの魔法陣だが、ハッキングは可能なのか?!」

 カウンターマジックとか。

 スペルキャンセラーっていうスキルはあった。

 属性同士で打ち消し合うとかも、魔法使い同士では実戦でも生じるので、万全な対抗術式なんてのは...ちょっとない。

 そのために“ネズミ返し”みたいな無駄なもんが流行したことがある。

 ただし、対抗策もすぐに発見されて、イタチごっこは常なんだけど。

「ふふ、俺様のは完璧だよ!!」

 おお。

 自慢げに大層に見え張っちゃったよ。

「そっか...じゃ。事実を伝えておく」

 C班もマキへ向ける残念そうな表情が痛い。

 いや、これはマキにではなくドゥに対するもので。

「あの術式“蜃気楼迷宮ミラージュ”はスカイトバークの謀神まじょにハッキングされました!」


「え?!!!」

 マキの顔面から、一気に血の気が引いていくのが見えたんだけど。

 ドゥの心は居れてないよね。



 しばらく放逐されてたけど。

 聖櫃の総長は『いつ女王陛下と謁見できるんだろう』という疑問を噛みしめてた。

 拉致されて数か月。

 その間は、ずっと御付きの侍女たちから世話だけは焼いてくれる。

 お客様のように接してはくれるみたいなんだけど。


 その居心地はずっと悪いままで。

 クッションにじっくりと座りたいのに、半分だけ席を空けるような雰囲気のまま。

 生殺しとはよく言ったものだと思う。

「えっと陛下とは?」


「申し訳ありません。ご都合が付かない様子です」

 お庭を見ますか?

 本日は、暖かな日差しのようです――なんて、侍女が誘ってくれるんだけど。

 彼女は断った。

 陽の下に出たら、溶けると思ってるから。

 そういう引き籠りである。


 そのうち、頭の上にキノコでも生えるタイプだ。

「そうですか、お庭の花も見ごろなのですが」

 何かのフラグをへし折った雰囲気。

 この話は後宮の奥へと直ぐに伝わる。

「ふむ、外見も見目麗しく、健康的で腰の大きな...もといまるみの良い形と聞いて、余も、息子たちも楽しみにしていたのだが。本人が部屋を出ないというのであれば致し方のない話であるか。謁見の場で、お前は息子たちの嫁候補であるのだぞ?!と、伝えるのは酷だと思い、偶然でも装って息子の一人と暫く突き合わせて篭絡しようと画策したものだが」


「こちらの意図を見抜いて」


「聖櫃の者たちは確かに侮りがたい。彼らの長であれば血統も正しき古代種エルダーのものであろう。湯あみ係の話であれば、耳はやや長めエルフの気配もあり、魔力のオドは純粋に高く極めて精緻な操作力があるとの話であるな?」

 結局は、そういう事だ。

 血が薄まってきたので、よりハイクラスな人種のものを手に入れたいという訳だ。

 湯あみの最中で、ごく自然を装って――総長の前で粗相をしてみせて、彼女が無詠唱でもって操作したことが記録されている。仮に割れた花瓶で指を切った侍女には、総長がヒールで治し、割れた花瓶の復元も行わせた。

 このまま壊れたままですと...

 私たちは死罪が待っていますとか、なんとか。

 ビビった総長が風呂場の縁で膝を打つ事故の中でも、複製魔法は行使されて。

 オリジナルよりも本物の青磁器になったというのだから、彼女の魔力操作は天下一品という事になる。


「母上!!」

 皇子たちは15歳の年頃を迎えている。

 この中から、次の陸軍元帥府を継ぐ者が現れたり、或いは女王になるための姫を得るものが出る。

 彼女の下にも姫はいるけども。

 兄弟があるのならば、率先して女性が婿を取る必要がないわけで。

 これはこれでヴァージンクイーンはちょっとかわいそうな気分。

「あなたたちのお嫁さんは、ちょーっと人見知りのようですわねえ」

 えっと、これは...魔術師ガントも本腰入れて救出しないとマズイっぽい。

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