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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1760/2359

- C 633話 大魔法使いの残滓 13 -

「この精神攻撃は、人にも機械にも、動物や魔獣にも影響を与えます」

 ガイドゴーレムは両の拳を固く握って、

「そういう類の精神支配なんです」


 賢人会では、この術式の目的が“魔獣の召喚”だと知っている。

 謀神も見抜いて、負荷の無い短い“音”で精神支配を付け加えた――指向された地域限定で同士討ちが発生。その贄をもって魔獣が召喚されて、さらに追撃戦も行われた。

 結果的に、脅威であった東洋上陸部隊が壊滅した。

 サバ公爵軍、スカイトバーク王国守備隊、および東洋のそれぞれに十数万という被害が出た。

 偶然の重なりなのだけどね。


 偶然って怖いなあ。



 謀神の詰める工房――。

 聞き耳を立てるクリスタル前。

 七色に輝いて、囁くような声音が聞こえてくる。

 よく回る口の数は、


 そう。

 4、5人程度。

 代わる代わるというよりも、筆頭みたいなのが引っ張っていく雰囲気だ。

「盗み聞きですか?」

 メガネの縁に人差し指を当てて、如何にもデキますって雰囲気のキツイ女性。

 彼女が、部屋の隅に立っていた。

 いつから?

「しばらく前からです。総長が面白そうな顔でしたので、見てました」

 珍獣か何かでも観るように。

 謀神は、ひと呼吸置いてから、

「面白がらない!! これは、あれだ。そう、防諜」


「言いつくろっても、いい趣味じゃありませんが。仕事だと割り切って話が出来ます」

 彼女が此処にいるという事は、施設が破壊された時に生じた衝撃波で、昏倒までさせられた仲間が目覚めたという事だ。

 深刻そうな表情でもないから...

「精神への蓄積度は?」


「何も、肉袋一個分の防壁の御蔭もありまして、クランの全員がすべて帰還することが出来ました。現時点における身体的な欠損もなく、経過観察のみで実務復帰が可能とだろうと」

 総長が彼女に向けて人差し指を挙げる。

 制止させたのだ、会話を止めさせた。

「何か重要な会話が?」


「いや、それじゃない。実務復帰の方だ」


「はい?」


「皆には、3日ほど休暇を与えよう。幹部連中には申し訳ないけど、ボクの遊戯に付き合って!!」

 言わずもがな、後始末だ。

 自分らでやらかしたんだから、ケツも自分らで拭く。

 まあ、当たり前だけど、ねえ。



 種族進化トライドには、方向性がある。

 職業の選択と同じで、枝分かれは無数とまでいかなくとも数本。

 ただし、将来性を失うと...


 奇跡の進化は、道を見失うという訳だ。

 409の大隊長のコロネさんが手本を示す――彼女が道を定めて、皆が正しく進化できるように誘導する。怖いだろう、生き残り百数十名の命を預かるのだから。

「いえ、生前と大差はありません」

 強い人だ。

「皆が人間種ひとではなくとも、生存できる世界があるのならば」

 なるほど。

 そういう希望の託し方か。

「ウナちゃん、受け入れ先は?」

 コロネさんたちの住処だ。

 魔人まで進化出来たら、人間社会に紛れ込めるけど。

 死人となると、行きつく先は不死者の王くらいしかない。

「じゃ、お願いします」

 彼女の決意。

 その心にボクが手を貸す、ただそれだけ。

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