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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1757/2383

- C 630話 大魔法使いの残滓 10 -

「ええと、ちょっと待ってね」

 水の音はそのままだ。

 戸口の下の隙間から、コンパクトに畳み込まれたパックが差し込まれてきた。

「ちょっと窮屈な体勢だから、早く受け取ってくれることを願うかなあ。いくら体が柔らかい方だってっても、トイレの戸口前でストレッチってのはさ...入ってきた人に変態か何かにしか思われないし。窮屈な言い訳みたいで」

 忍びないので、差し出された()()を受け取った。

 男のドゥには見たこともない包だった。

 使い方が...っていうのは変だろうか。

「あれ? マキちゃんは挿入派?」


「あ、うん」

 は、挿入? なにそれ怖いって反応になる。

「そっかー」

 空気を細く吸い込むような音が聞こえた。

 暫くして、平たく息を吐くような。

「包み紙を解いて...広げて~」

 レクチャーは続き。

 ドゥはこの日、神秘に近づいたわけだ。



 賢者たちのパジャマパーティ。

 ジジイとババアしかいない“古木の会”の方がしっくりくる。

「...じゃて、よもやこんな無駄な術式をそのまま...くんじゃあおらんよな?」

 手記に記されてる内容は、どれも古風。

 否、簡単に言えば、その当時は最新鋭だったんだけどね。

 ボクが帝国に招聘された時に、殆ど書き直してしまった。


 効率よく魔法使いを使うために。

 だから彼には()()()()()()()()()と言ったんだ。

 無詠唱、略式詠唱法に加え、数々の術式群。

 後世に残るであろうすべてが封印指定された――否、これは否だな、封印じゃなくて棄てられたもの。

「心意操作に似た術式か、これは」

 丁寧に詠唱呪文を代用した()()()が用いられてる。

 が、長すぎて魔法陣の周りを何度も囲ってた。

 そこは、魔紋で代用しないと。


 ボク的に見て、ソコがイライラする。

「うむ、じゃが..」


「分かる。この苛立ちはなんだ。この無駄さが言葉よりも、行動に出そうな」

 ジジとババにも苛立ちが。

 ああ、この人たちはマーガレットの弟子たちだっけ。

 そりゃあイライラするだろうなあ。

「で、結局のところ、なにが悪いんじゃあ!!!!」

 背負ってた布団を跳ねのけて。

 ジジイのひとりが勢いよく立ち上がった。

 司書ゴーレムから『ひぃい』なんて甲高い悲鳴が出た。

「なんじゃ、お前、まだ居ったんか?」


『居ますよ!! 本の返却が完遂されるまで付き従うのが司書の役目です』

 マシンボイスで見栄を切る。

 ま、帰ってこない司書ゴーレムひとつと、手記がひとつある。

 捜索中だけど、記録の改ざんがあって手こずってた。

「では、ヌシにも問おう! これは何をするための術式じゃ!!!!」

 ゴーレムからため息が出るのも新鮮。

『魔獣召喚術式です』

 ん?

 え?

 は?

 ひぃ?

 ぴ?!

 あ!?

 それぞれが何かしら口から出てきた。

 そして、ボクも『あ゛』って言葉が。

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