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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1746/2368

- C 619話 カリマンタン島戦線 39 -

 獣人化した兵士の無双ぶりは、かつてのバイキングたちのようである。

 ライカン由来の鋼鉄をも切り裂く爪。

 強靭な上半身に、顎の力はワニにも匹敵するという。

 これがかつて人間とは思えないものである。

「うむ、人の姿には戻れぬ()()だが、やはりひとつギアがあるものだな」

 圧倒されるのは、4人となった将軍たち。

 および、1000数人を失った戦友たちだ。

 公爵軍の墓穴から蘇った兵士は160人――種族進化トライドによる成功者数だ。

 実験では、1割にも満たなかったが。

 これは状況への適応力だろうか。


 或いは、無念という失意からの足掻き。

 何れにせよ、新しい兵士の誕生だ。

「よくぞ集った!! 新しき我が戦友ども!!!!」

 カイゼル髭の旅団長からの激励。

 応える獣人たち...

 ま、そんな雰囲気、か。



 浜に上陸できた、ボクたちは熱烈な歓迎を受けた。

 特に、簀巻きにされた“班長”と呼ばれるゾンビにだが。

「これ、噛みませんよね?」

 唸るゾンビに指をさす。

 とても恐縮してますって、頭を搔いた女性将校とは真逆だ。

「どうも、我らは元409魔導大隊の生き残り...いや、んー、残骸?」


「そこまで自虐に成らなくても」

 みたところ。

 ざっと辺りを見渡してる。

 アロガンスと、ウナちゃんは装甲車に残してきた。

 幼女のナリで妖気の駄々洩れは、ゾンビには刺激が強すぎるし。

 半裸の癖があるキノコ派は静かにしててほしい。

 それがボクの本音。


 エサちゃんは勝手についてくるし。

 この場合はボクが手綱を握ればいい。

 交渉ごとの全般は――ハナ姉に一任。

「実に活きがいい!!」

 簀巻きのゾンビを突く女。

 ああ、ハナ姉だ。

「ちょ、お姉ちゃん?!」


「はい、お姉ちゃんはここです!!」

 “お姉ちゃん”呼びは効果があるな。

 元気があってよろしい。

「な、仲のいい()()ですね」

 ふむ、これはエサちゃんも含まれてるな。

「で、409といいますと?」


「連邦共和国の防諜機関サーヴィターの隊員たちだよ」

 表情は見えないけど、

 エサ子がそれとなく呟いたようだ。

 なんで顔はボクの臀部に向けてらっしゃんで???

「よ、よくご存じで?!」

 ほどよく驚かれた。

「防諜機関の方が、何故、ぞ、ゾンビに?」

 これは聞き難いなあ。

 任務でしたって言われたら、そこで話が終わるし。

 任務内容に障っても、ケチはつくよね。


 お前たちは、ここで死ぬのだー的な。


「ふはははは!!!」

 ごろごろ転がってきた簀巻きの人。

 人じゃないけど、元気なゾンビ...

「ここで我らの任務を知れば、即、市が待っているであろう!!!!!」

 うん、そうきたか。

「あ、ごめんなさい」

 砂地にめり込むまで踏まれると、

班長このこも悪気は無いんですけど、冗談が過ぎるというか。もう私たちは死んでるというのに、生前の悪い習慣が抜けないのも困りものですよね」

 と、物腰が柔らかく非常に親しみがある。

 魔獣との戦いでは見事な集団戦闘でゾンビを導いてた。

 これは立派な指揮官だったに違いない。



 野営地兼、陣地構築――。

 幽霊船からの人手も加わって、砂浜にて構える砦が組まれた。

 出来得れば...

「すんっ、これが砂上の楼閣にならんことを願いたいものだ」

 砂地だけに、な。

 “班長”の捨て台詞だけど...

 ありがとう、誰も声に出したくなかった()()を、言葉にしてくれて。


「あなたがたは?」


「一時的にですが、欧州連合に参加してた傭兵です」

 間違いじゃない。

 幽霊船を引き連れて、名乗るものでもないけど。

 そういう訳なんで。

「ムリ!」

 “班長”に猿轡が施されて、再び。

「なるほど!!」

 409の指揮官さんが柏手を打って、相槌を。

 いや、なんか大変ですね。

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