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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1732/2360

- C 605話 カリマンタン島戦線 25 -

懲罰軍団クロワザード北島ここに投入されていれば、まあ。スカイトバークの駐留軍だけでは、一方的に蹂躙されてたとも思えるのだが。そうであればだ、一般人を巻き込んだ虐殺があっても、何ら不自然ではないのではと、納得したかも知れぬ...いや、これは前評判からの勝手な憶測だがな」

 事実、南洋方面の戦いでは“白旗”を掲げた非戦闘員に対して“条約”に準じた施策が取られている。

 懲罰軍団クロワザードとて無暗に戦火を広げているわけではないことが、確認されてた。


 まあ、これは少し政治的とでもいうか。

 東洋王国の方針と言う話なのかも知れない。


「この領都に入ってからも、ずっと気にはなっていた。建物が戦争で傷ついたとは思えないほど外観が美しいことに。1階の各所には爪痕や、或いはハンマーなどで負ったと思しき傷などが見受けられた。で、あるならば――」

 城壁も無傷に近い。

 この島での戦闘は確かに激戦だったのだろう。

 公国・北方方面軍と、スカイトバークの臨時混成軍――眼前に迫る共通の敵となれば、如何に連携不足でも否応なく意思の疎通は可能になる。戦功の奪い合いなども些末なことで、一致団結してた筈だ。

 そう、この領都まで迫られたとは思えない。

「戦争の傷跡が皆無過ぎる」

 領民は何処へ?


 電話が鳴る。

 交換士がそれを取って、

「閣下、魔物が出たと!!」


「そうか」

 髭を弄る手が止まった。

「諸君、悪魔が来たようだ」



 ボクらと死神の代行者たちは、領都の北部にある海岸線から再上陸を試みた。

 領都に先行している“()()()”があると、上空で待機してたキルダ・オリジナルさんからのお知らせによって知ることとなった。が、日没と同時に上陸した彼らの真意をボクたちは軽く見てた。

「上陸できそうな浜が...」

 魔物に占拠されてる。

 ほぼ無限に湧き続けるゾンビを食らう魔獣たち。

 これは彼らにして、楽園みたいな食事処なわけだ。

「魔獣の湧きも異常ですが、ゾンビも」

 見れば、魔法を使うゾンビもいる。

 エサとして食われる者と抵抗するか、いや、敵意をむけて攻撃してたのと理屈は同じかもしれない、ゾンビたちも少なからず居るような、雰囲気。


 エサ子は、ボク背を蹴って――

「マルちゃん覗かないでね」


「そ、覗か...」

 振り向くと茂みが見えた。

 あ、エサちゃん履いて、いや手入れしてない。

「ちょ、何を!!」

 エサちゃんは砲座に取りついてた。

 確かにその武装は、彼女ために装備させたものだけど。

 その、下ちゃんと履いてぇ~。

「とりあえず、魔物を一掃してみようと思う」

 ふむ。

 それから?

「いあ、そのあとは成り行き。ただ、なんとなくだけど...魔法が使えるなら、交渉もできそうに思えて。深くは考えてない、かな...」

 大砲と言う割には小口径なものだ。

 軍関係者からすれば『こんな()()()では、対人くらいしか』なんて言われかねないけど、戦車が出始めた頃では()()()()対戦車砲だった時期がある。

 対人で有効ならば、魔物にも十分通用するはずだ。

 ただ、体毛の厚いイノシシ型や、ブラックベアー型でなければ、ワンチャンス。

「マルちゃん、見上げるのは無しとして」


「へい...(俯いたまま返答)」


「予備弾薬をありったけ」

 うぐ。

 ハナ姉は、アロガンスと操縦席にある。

 海を航海するときは、ふたり一組の操縦となる訳で――見渡せば、手隙はボクだけのように見える。

「持ってきて」

 可愛らしく声を掛けられたら、やるしかないじゃないか。

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