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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1730/2364

- C 603話 カリマンタン島戦線 23 -

 ボクは装甲車内にある厨房に立ってた。

 船長たちは言ってた――「この“塩飴”でも回復に繋がりますな」と。

 ならば、支援魔法で携われないのならば。

 ここは“調理”という手段で携わつほかない。


 マルちゃん印の“塩飴”はボクが監修している商品のひとつ。

 普段は、工場から出荷されるんだけど。

 ま、ここは料理もできる子としてのマルちゃんを見てもらおう!!

「...そんなことしなくても、マルが女の子だってことは揺らがないぞ?」

 出来立ての水飴を舐める姉が。

「もう、ハナ姉ったら」

 水飴とハナ姉を引き剥がした。

 これから冷やして...

「うん、しょっぱい」


「本当は塩水ではなく、海の方がいいんだけど。舐めるだけで体力が回復するなら...ね」

 そう。

 仲の良くなったカリフラワーみたいな船長曰く。

 長い指を起用に動かして――「我らは南極海から派遣されているから、船の修繕や、肉体の疲労、体力に怪我なども“南極海”の海水があれば...たちどころに消えるんだけどね。まあ、この塩飴で似た効果が少なからずあるというのは、ね」

 保存食ともに重宝はしてくれてるけど。

 飛びつきたくなるほどの歓迎っぷりではない。

 癒せるけど。

 癒しきれない...みたいな差だ。

「――で、このしょっぱさか」

 ハナ姉の目が細くなる。

「なんか胸にズキッときた」

 ボクのショックを敏感に感じ取る。

 いやあ、この姉の触角はマジ、すごいと思うわ。

「私の個人的な感想だけどね」


「うん」


「マルの塩飴は美味しい。だが、海の水はもっと甘い!!」

 衝撃的な――。



 ペンギン郵便の速達により、南極海の水が取り寄せで来た。

 2時間ほど待たされたけど。

 送ってくれたのは、幽霊船の修理に従事しているサザエ頭の大工さん。

 ウナちゃんの知り合いらしく。

 代わりに隠し撮りした“宇名部長”を送付した。

「ハナ姉、どこで?!」


「え? 写真。...企業秘密と言いたいけど、今度、就職するんで職場見学でいろいろ」

 驚いた。

 あの引き篭もりが?!

「心外な眼差しだが、ここ最近の心境の変化だ。私が働いて、義妹マルと一緒に住むために頑張るのさ!! 一恵おねえさんにも話は通してある」

 ま、マジ...

 一恵は、ボクのママで。

 いつ、いや、どこ。

 いやいや、あの家を飛び出して何処かへ消えた、ママンにどこで報告を?!

「地球の裏側とかまあ、意味わかんないけど本人から連絡があって...娘の近況報告とか、ね」

 あ、はい。

 確かに意味不明だ。

「じゃ、この海水の分析から」

 魔法で複製が出来るか試作する。

 実験に参加してくれる被験者を募り、陽が上る2時間前に“ブツ”が完成した。

 水死体の皆さんの肌艶が瑞々しく戻っていること、それをもって本作戦...いや、本プロジェクトは完成した。


「これぞマル印の“潮グミ”!!」

 かつて何処かの世界線にて、スライムをしゃぶってるみたいと不評だったグミ。

 触感は程よい弾力と、ざらつき。

 風味は磯の香りを残しつつ、甘しょっぱい感じで手製さがある。

「んー、美味」

 ハナ姉以外にも、エサちゃんやウナちゃんも食してる。

「疲れた時には最高だな!!」

 アロガンスさんも、だ。

 ボクなりにもこれは自信作だ。

 ま、なんかどこかで作った事があるような、既視感はあるんだけど。

「スライムになったマルを舐めた時のような舌ざわり」

 ん?

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