- C 599話 カリマンタン島戦線 19 -
「じゃ、言い訳を聞こうじゃないですか?」
水陸両用のどんな悪路も踏破する。
そんな夢のようなゴーレム製8輪装甲車で、南シナ海を制覇したボクらは今、ブライトの浜辺に半ば腐乱死体みたいな死神とにらみ合いに発展してた。いや、正確には数千人のゾンビの群れの中心が円形の話場が出来てて、装甲車から見守るエサちゃん、ハナ姉、アロガンスと――砂地の円形脱毛みたいなとこにウナちゃんとボクがある。
なぜ、ボクがゴーレムに戻れなかったのか。
涙目のウナちゃんがボクのショーツごと掴んで離さなかったからだ。
「いい...訳?!」
苦しい。
速達で届けさせた例の手紙で、彼ら幽霊船の死神たちは終結した。
「アレ」
クラゲの化け物みたいのが。
親指を背後に向けながら、陸から湧く黒々としたモノに言及してた。
「何に見えます?」
「えっと、ゾンビ?!」
「不死者ですよね!!」
ボクも応えてた。
命知らずだよなあ、ボクも。
ちびってパンツの中心がヤバいのに。
「ま、...アレは陸地で死んだ霊です。分かりますか?」
頭がシイタケみたいなのが被せてくる。
わかる。
わかるけど...ほら、資源ゴミみたいなもんで。
「回収できるわけないでしょ。同じ資源だからといっても、ルートが同じじゃない。管轄違反、それをさせる気ですか!? あんた仮にも魔王でしょうに」
ちょっと怒られた。
死神はお役所仕事みたいなトコがある。
とくにこの辺りの管轄は煩くなってた。
◇
戦争だから猶更に死者の数が膨大だ。
死神の数も足りない。
いうて足りないなら、複数の死者をダース単位で引率すればいいんじゃねと、業界でも考えられたけど。
管理責任の及ばなくなる範囲も出てきて分かったのが、ここ最近という事らしい。
近年の戦争は死に過ぎるのだ。
肉体を保持したまま、生まれて死ぬまでの期間も極めて短く。
魂の輪廻も順番待ちという現状。
さても、死者の国は今やパンク状態である。
「兄弟たちよ?」
イカの頭が、生臭い息を吐きながら。
ウナの方は「男臭い」とぽつり。
「アレの死は自然だろうか」
それぞれの船長が陸地かあら湧きあがる黒いものを見た。
数千人の水死体が円陣を組んでる外輪では、小さな小競り合いが起きてる訳で。
それは不死者同士の殴り合いに発展してた。
「状態がヤバイようだな?」
タコ頭の船長はマジマジと見つめている様子で。
顎の髭ならぬ触手のをからめ取りながら、何かを考えているような雰囲気だ。
ウナちゃんに「彼」だと指示しつつ。
ボクは退路の確保に挑む。
「で、では! 原因の究明とかしてみませんか?!」
何を依頼していいるんだと、ボクもその時は思った。
乗り気な死神が居るから、彼に取り入れって指示のつもりだっただけに。
ちょっと流れが。
「ふむ」
間が流れて――
「面白い提案じゃないか、諸君」