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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1718/2359

- C 592話 カリマンタン島戦線 12 -

 遺跡の完全消滅により、南カリマンタン島に上陸してた東洋王国軍の停滞も解消される。

 もっとも、沖合に停泊してた艦隊とは今も連絡が取れない。

 そこで、同機関である《不知火》と対話する運びとなった。

「まあ、正直...准将閣下がどういうルートで()()()に繋げたかは詮索しませんが、その過程で。その、...ですねえ言い難いんですが、こっちに繋げる手前で状況の確認とか出来なかったんでしょうか?」

 《不知火》が匿われているのは、陸諜が用意したセーフハウスである。

 考えられる限りのなかで、我に返れるターンがあった筈だ。

 いや、そもそも...そこだ。

 いち諜報員と何故、

「それを聞くのか? お前が、わたしに??」

 遠見の鏡は、TV会議のようなものだ。

 たまに魔力阻害によって“No Image”なんて灰色の人形が映し出されるときがある。

 まあ、それは出力できる映像が無かった場合。

 無線のように音声だけの時。

 その逆も、偶に...。

「こっちに回す労力を考えれば、ね」

 すすり泣く声が鏡の奥から聞こえる。

 そういえば、准将の鏡には暗い室内しか映ってない。

 本人はどうしたのだろう。

「《不知火》大尉殿、居られますか?」

 代わって精悍な将校が鏡の前に立つ。

「あ、はい...そちらは?」


「申し遅れました。准将付きの運転手です」

 襟に光るは大尉の階級章。

 諜報員の方は“()()()()()”大尉相当ですよと言って、現職の大尉とはかなり差がある。兵隊を動かす時に、相応の階級を持っていないと民間人並みに侮られるからだ。

 現職と相対した場合は、道を譲るような差だと思えばいい。

「あ、そうですか...じゃ、殿()は必要ありません大尉」

 運転手はやや半身になって、鏡の裾を見る。

 どうやらそこに、主人があるらしい。

「そちらは地下ですか?」


「あ、はい。まあ...」

 階段をひとつ下がっただけの地かと言えば、地下。

 だと《不知火》は思っているが。

 大番頭の方は、彼の裾で首を横に振っている。

「あ、れ...ちが、え?! しぇ、シェルター?!」

 黒蜘蛛のジェスチャーを読み取った。

 鏡に向き直り、相手方からも落胆された――え、俺が悪いの?!と疑心暗鬼に。



「地表では今、凄い状況なんですよ」

 運転手曰く。

 暴走した大魔法とその触媒であった古代遺跡に、超重量級の魔法の塊が衝突して互いに消滅し合った。

 外的要因による動脈裂傷みたいなものだろうか。

 マナ汚染が生じて、遠距離通信が困難になった。


 元帥府に連絡が取れなくなった南カリマンタン島の上陸部隊は、当然、現地の同機関とのパイプ確保に動くわけだ。そこで、世間に疎くなってたスパイにもようやく状況が飲み込めた――ついでに恋焦がれてる、准将の心の内も理解した。

「陸諜の支援を受けて、南島でのパスが繋がりつつあります。上陸部隊6個師団で戦争の継続が可能かは、上の判断待ちなところでありますが、大尉の方でも欧州連合の動きを探って貰いたいのですが...」

 これはお願いだ。

 シェルターにあるという事情の察しはついている。

「今のところ、私の判断だけで行動は出来ませんから、持ち帰って...にさせていただきます」 

 通信が切断された。

 と、いうよりも通信障害嵐の向きが、変わった感じだ。

「で、どうしよう!!」

 向き直る《不知火》の周りに誰も居ない。

「えー!!」

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