表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1710/2360

- C 584話 カリマンタン島戦線 4 -

 大魔法の暴れっぷりは凄まじい。

 天変地異によく似た、強力な放電現象が起きている。

 使い魔たち自身の自我で行動させると、途端に大魔法の餌食になる――幾度かの実験により証明された事象で、ぴんく☆ぱんさーは手持ちの“悪魔こま”からボイコットされかかった。

 まあ、もっとも“使い魔”として召喚に応じている者たちは、下っ端もいいところだ。

 仮にもう少し上位にいあたる魔人クラスであれば、或いはワンチャンス。


 あ、いや。

 その魔人をお誘いしたら、丁重に断られたことを付け加えよう。



 さても、と。

 魔法陣の周囲は安全圏とされ、その外周は極めて危険な範囲となる。

 なにが危険って――地表から天上へ向かって雷が奔るのだ。

 普通は上から下へ落ちてくる現象。


 これは暴走した魔法の根源。

 つまるところ霊脈のエネルギー放射であると考えられる。

「――とまあ、そういう結論に」

 総長の論説に耳を傾ける“使い魔”はいない。

「すみません、聞いてませんでしたが。口を動かす前に、手を動かしてください」

 正論だ。

 威厳も何もあったもんじゃない。

 放電する雷に触れると、ゾンビも悪魔も吹き飛ばされる。

 チリと消える。

 使い魔の身体をコントロールしている術師も、暫くは昏倒する為。

 一刻も早く止める必要がある。


 逡巡とするコウモリ・ネズミ。

 無視してた訳じゃないけど、多肢の多い魔物たちの中でひと際、異彩を放つネズミ。

 周りは思った――なんでネズミ?!と。

「総長、代りのは?」


「あ、えっと...これだけ。ほ、ほらあたし、こういう子たちに好かれてるから」

 職員たちから「ふ~ん」なんて軽い相槌が漏れた。

 男性職員率ゼロ。

 防諜組織の中で女子校めいた雰囲気があるのは、珍しい事じゃない。

 が、そんな場所が花園だって思っているのは、その庭園のドロドロしさを知らないからだ。

「そんなちっこい手でコンソール、押せますか?」


「すみません...」

 ネズミの目が細くなる。

 八の字に眉を落として、しわくちゃになる表情かお

「まったく、それじゃあ」

 防衛線を突破してきたゾンビがある。

 総長に説教する“使い魔”はこれに回し蹴りを見舞って見栄を切る。

「ゾンビ一匹だって狩れませんよね?!!!」

 職員たちから拍手と賞賛の声が挙がった。

 いや、もうどっちが指揮官だか。

「副長ちゃん、怖いよ?」

 ネズミの震える声音。

「怖くはありません。総長がダメな子なんです! ゆえに私がしっかりしないと、なんです」

 ああ。



 元帥府は事実のもみ消しに躍起になったが、海軍省が派遣した駆逐艦により暴露される。

 皇室をたてまつる同じ国家に属する者たちなのだから、そこら辺の歩み寄りはするべきだと思うけども。東洋王国の方は、一枚に成りきれないところがある。

 恐らくは、このでっかい亀裂から切り崩せそうな感もなくは無いんだけど。

 ここぞって時はまとまるんだよなあ。

 そこが面白い。


 で、だ。

 元帥府から出てきた絹の神官装束に、流行りの外套マントを着こなした太刀持ちが――皇室近衛隊と真っ向から睨みあってる状況に、海軍省の将校たちが遭遇したトコ。睨みあって数十分と言ったところだろうか。

 般若面のような物騒すぎる面持ちの近衛。

 いや、ただの門番なのに物凄い圧を感じる。

「いねや、このド阿呆どもが!!!」

 悪態吐くのはちっこい兄さん。

 って、ボクから見たら随分、大きな人で――身長は170以上? 細く見えるのはタイトな神官装束のせいだろう。外套で肉質の方は一見では難しいと思う。

「お帰りください、閣下」

 取り巻きの多さにも秘密が。

 将校が報告書を抱えて、にらみ合いの横へ回り込んだとこ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ