- C 576話 反抗作戦 Eパート 6 -
404のラミア。
帝国の特務機関にある幾つかの魔導大隊のひとつが、彼ら或いは、彼女らのホームである。
部隊呼称にはいくつかの嘘があって。
魔導大隊とは、外向きには大きく見せているけども。
実態は中隊規模でしかない。
人数的には100から200人程度。
兵力的にはもっと小さく、2個小隊分。
この絡繰りは、戦闘員が極めて少数精鋭だって話。
いくつかあるエラーズも、同じ台所事情を抱えてた。
◇
「さあて、この招集で集まって貰ったのは――」
ラミアが冒頭のさわりを騙りだしたところで、銀髪の少女が彼女の横に立つ。
「ここにある者たちも推測はしていると思う。我々は、休暇組であるというコトを!! ひと段落終えた後にそれぞれが激務だったこと、生傷もあった子らもあるだろう。そんな諸君を我が義姉が呼び出した! 何故だ、新たな“不可能”任務が生まれたからに他ならない。他の子じゃ気が置けない任務だともいえる...裏を返せば、我々が、諸君らがひとえに優秀だからである!!!」
拍手がわきが上がる、自然とだ。
これが《巫女》とされる銀髪少女のカリスマ性だ。
ラミアの口がぱくぱくしてたのは滑稽だったが。
◆
コードネーム《不知火》は、仕立てのいいスーツを“唐草模様”の風呂敷に素早くまとめると、上下ジャージ姿、下駄に牛乳瓶の底のようなメガネ姿で下宿先から飛び出してた。
貧乏学生のような見事な変身っぷりを披露して、虚弱な男は猫背、ガニ股、乱れた髪の男になった。
「ふむ、確かに見事な化けっぷりに思うが?」
「なんで、ついてくんだよ...」
メガネの端から、同じジャージ姿の少女を睨む。
こちらはビーチサンダルを履きつぶしてる感じ。
「まあ、、腐れ縁ですかねえ」
大番頭もジャージ姿の初老を演じてる。
いやいや、これはこれでシュールだ。
「ばか、目立つだろ!!」
「さて、この辺りは所得の低い界隈です。仮に我々の3人のようにジャージ姿の貧相...」
脛を少女に蹴り上げられる。
大番頭も表情が曇る時があるようで、今のは痛かったっぽい。
「ジャージ姿3人組があっても、怪しまれることは限りなくゼロにちかい」
「ぷはぁ~あ、マジかよ...あんたら?」
教導団のハンドラーからは、陸諜と秘密警察の方々とは距離を置けとの指令があった。
アパートに差し込む近所の工場から、明滅灯によるものだけど。
似た暗号なのだから、ふたりにバレないわけがない。
「じゃれ合うなと言われて尻尾をまくるとは、肝の小さいやつめ!!」
「そればかりの問題じゃないだろ?! 8パーセントのどこが美少女ないっていうのか教えて貰いたいものだが...あんたの正体が他に知られたら、俺みたいなのは早死にするって相場が、だな」
少女も頷き。
「じゃな」
「少しは否定しろよ」
「どこに否定できる要素があると?」
大番頭の容赦ない評価。
彼は今なら泣いてもいいと思う。
「で、どこへ避難するん?」
「あんたらが、ついてくるんならハンドラーも近寄ってこねえよ」
八方塞がりな雰囲気。
「じゃ、じゃあさ、ボクんトコ来ない!!!」
「どうしてそう前向きなんだよ」