- C 493話 広州攻防戦 2 -
ボクらの去り際に、
「おっと、えい忘れちょった事があったわ。海上の目撃談には、もう一つ、ちと厄介なことがあってな。おまんらのお目当てだ思う怪鳥ばなし、なあ、黄海のあたりで目撃されたち話だ...ケツから人をばひねり出いちゅーって、聞いちょったもんで怪談話か何かで忘れちょったんやわ」
相変わらず...
凄い訛りでボクらの顔が、しかめ面に。
眉間に刻み込まれるシワ、シワ...
「なんちゅう顔しちゅーがぜよ、おんしら? なんか分からんが、えらい美人さんが揃うて険しい顔をするな、もったいない!!! 嫁に行けのうとも、婿も来ん辛気臭い...じゃなかった、面白うない顔をしなさんな。こっちのはカネは要らんき、広州の方で冒険者ギルドに聞いてみるとえい。あそこの常連ってのが、見たにかあらんがよわ例の怪鳥ってのをさ」
最後は聞き取れなかった...。
もうー、なんて言ったんだよ!!!
「広州とは聞こえたな」
ハナ姉がつぶやいた。
首を傾げる、エサちゃんも――「広州方面か、これ、吉になる?」
ボク以外の方々はなんとなく事情を把握している様子。
「えっと?」
三者三葉にこちらを見てくる。
それはもう、可哀そうな的な視線のようで。
「マルちゃんは事情知ら無さそう」
エサちゃんとはまあ、ほぼほぼ一緒に居た気がするんですが。
「マルは出来ない子の要素の方が、8割がた多いからな。無理もない...」
ふぁっ?!
◇
北天から“蘇”が離脱して数百年。
“斉”の重要度は、海岸線の長さに比して高かった。
台州や広州、泉州が特区交易港として開発され、北天の海上交通や軍事面でも十二分に貢献していたというわけだ。北天にとっての玄関口であるという事は、大陸を掌握したい側に立っても同じことが言え、これら発展させられた経済特区の交易港は、まっさきに狙われたというわけ。
まあ、それでも広州はよく持ち堪えている方だ。
広州の沖には、東洋艦隊が列をなしている。
「港湾施設を無事に獲得しようってつもりはない...と?」
これはボクの当然なる疑問。
だって、気を抜くと沖合から艦砲射撃が撃ち込まれるんだって話。
ハイフォン王都から陸路で駆け上がってるとこ。
「いや、広州の元は“蘇”国の港であるらしい。北天と袂を分かつ際に、置き土産のようにと...献上したのが始まりだとかで。“斉”は、それまでも多くの交易都市があるって事で、国内でも重要度は低いのだという。ま、それでも“蘇”にとっては重要な都市だった筈だが...」
って、運転しながらアロガンスは答えてくれた。
うん、みんな...
ボクより物知りだ。
「あ、いや、これはガイドブックの受け売りだ」
唐突にタネを明かしてた来た。
盗賊ギルドに行ったボクらの帰りを待つ間に、アロガンスと海兵隊6人は交代で、町の中を散策したんだという。
ほう、満喫している様子。
「じゃ、その時のお金は?」
「あ、えっと...両替商で、な」
しっかり者だった。
ガイドブックには、それぞれの歴史と、地理などが書かれてた。
「じゃ、この道...」
「険しいって話のようだから、シートベルトの方はよろしくな!!」
ああ、そういう事ね。
ボクは察したように、元の席へ戻っていく。
◆
平甲板を持つ、軍艦に直立する少女たち。
ひらひらとスカートが海風にさらわれてて、彼女たちの“見ないふり”な視線がどこか別のトコに向けられてた――そう、甲板の上でな転がっている艦長である。ここいらの海では勝率6割を超える、名艦長として名を馳せる“1122883646”って数字だけのプレイヤー名。
本人曰く...
「意味? ないよ。え?! 必要なのそれ...名前くらい自由につけさせてよ。キーボードのテンキーを適当に打鍵しただけだって。そうそう、俺個人なんてタダの変態だから」
なんて笑ってたという。
《今日もあの子たちは可愛いねえ、うんうん支給品とはいえ“白いパンツ”が眩しいや》




