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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1617/2519

- C 492話 広州攻防戦 1 -

 鼻水をすするような仕草のキルダさんは、

「この度の目的は、ひとつ...目標としてた聖櫃の動向。と、ふたつ...大陸で起きてる状況の整理。そのための情報収集が必要とのことです、マルさんがモモ提督に提案した現地調査の骨子ですな」

 訛ってる様子が無い。

 いや、きっと慣れたんだと思う。

 先ほどまで、ずっと訛ったまま延々と、泣き言みたいなのを聞かされてた。

 ついぞ、おうち往にたい...

 なんて呟いてもいた。



「ま、なんにしても。キルダさんがやる気になってくれて助かったわ」

 ハナ姉は、彼女の肩を揉む。

 スキンシップのつもり。

 たぶん、ハナ姉よりも2、3歳上の大人の女性であろう。

「ほんまに?」

 あ、やっぱ未だ訛ってた。



 訛りと言えば、ハイフォン王国の方も相当に()ている様子。

 これの暖簾分けさせる前の、ハイファンタジー・オンラインサイドでは、プレイヤーに入ってくる言語情報にはフィルターが掛けてあった。これはどんな出身の人たちでも、理解が出来るようにするための補助輪なのだと...運営会社のエライ人が言ってた。

 受け入りです。

 べたな地方方言使われたら、意味わからんようになるのは演出的には面白いけど。

 理解度が低くなって、テキストを読まなくなるし、聞かなくなる。

 それでは謎解き要素のあるシーンでは不利だ。


 うん、わかる。

 でも、この海戦ゲームでは陸に揚がるとしたら、プレイヤーの“ホーム”かギルドのある“台州”以外には基本的に、上陸できないようになってた。...もんで、方言フィルターはここに無いんだけど。

「聖櫃、やか?」

 街に入ると、徒歩でしか行動できない。

 まあ、現代戦車みたいな横幅と全長、全高を誇るゴーレム装甲車なもんだから。

 アロガンスと海兵隊6人を残して...

 ボクたちはハイフォン王都に入城したってわけ。


 盗賊ギルドに顔を出して、それとなく聞く。

「じゃ、じゃあさ...空に大きな鳥を見なかったかな?!」

 ナイスって声がハナ姉とキルダさんから漏れた。

 ああ、タイプ同じ?

「大けな鳥やか? ...っ、大けなねえ。そらって事やろう。大きいって、どこまでを大きいとみなすか。例えば翼長で、数メートルととなると鷹らあ鷲らあ、そがなのでは...ないのやよね?」

 うっわ、頭ん中、今...言葉セリフが流れ込んでこなかったわ。

 えっと、な、何が?

「そうやねえ、見たかどうかで言うと情報が...ん。ここより南の“カラミアン諸島”にある“ルバング”ってところの漁師が東へ飛ぶ...いや、()()ってのを見たという噂はあったなあって。こりゃ、現地じもと漁師の戯言。これでも、えいというのやったらぁ、まだ幾つか噂話があるが。情報料は安うはないが、えいかい?」

 なんとなく聞き取れた箇所はある。

 流石に王都だから、ぐっちゃぐちゃに訛ってはなかった。

 今のところ、これが王国内での標準語という事らしい。

 耳が、耳が...

「情報料とは言うが、何で払えばいい?」


カネに決まっちゅーやろ!!」

 うん。

 まあ、確かにその通りではある。

「それは“豆金粒まめきん”でもいいのかな?」

 両替商に寄らないでここに来てしまった、落ち度だ。

 王国内の流通量が分からない。

 流石に金貨とか、銀貨では無いだろうし。

「この国では刀幣が使われちゅー。異国人にはちっくと、難しいかも知れんけどな。金や銀ってのはうちの国でも産出量が少ないき、もっぱら銅の刀幣が用いられちゅーが、まあ、今回は()()の目方でえいろう。ギルドの信用にもかかわる、今回はおまけだぜ?」

 砂金じゃないと、説明はしたけど。

 訛りもひどいので、豆金の5粒で手が打たれた。

 豆金とか言っても...

 大豆のような金塊のことを言ってるもので。

 目方で量れば約10g前後の純金である。


 もう少し前の時代だと、

 5gくらいまでの見てくれ悪い金塊を、袋に詰めて持ち運んでた。

 まあ、これで一生遊んで暮らせるものらしい。


 ってのをキルダさんに聞かされて、だ。

 ボクとハナ姉、エサちゃんの目の色が当然変わったのは、内緒ではない話。

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