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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1592/2520

- C 467話 いざ、外洋へ 1 -

 気を張ってたんだろう。

 ボクが落ちたと聞かされた時、彼女はひどく狼狽したという。

 いや、他人の目には落ち着き払ったように...義妹は()()()()()から捜索をって、指示してたという。だけど、本当に心配してて掌には、握りしめたときに出来たであろう爪の食い込み痕が、まだ残ってる。


 ごめん、ごめん...

 言ってあげたい。

 だけども...

 ハナ姉は、今、手が離せない。

 いや、顔をボクの股に沈ませたまま、戻ってこない。

「あ゛~」

 吸ってるよ、吸ってる。

 もぞもぞ動いて、気持ち悪いよ~



 迷子という話を――

 連絡用のペンギンの格納庫内なかで聞いた。

「迷子かあ、って誰が?」

 ボクは艦内通話用の受話器に向かって声を挙げた。

 ま、ハナ姉の方はボクの太ももの上で睡眠中である――先ほどにも言ったけど、彼女は気を張ってたのだ。ボクのことを本当に心配してた証左だ。で、爆睡中の彼女は、ボクが声を張り上げたところで動じなかった。

 いや、目が覚めてたとしても...

 ボクの太ももから、退きたくは無かったかもしれない。

「こちら()()()です」

 飛行ゴーレムの術式によって出来た航跡を捜索、監視しているチームがある。

 四領から南方に飛び去り、三領の上空を半日かけて南極海へと到達。

 そのまま、南極のポータルを目指したことまでは追えていた。


 が、


 ポータルを通過した“カイザー・ヴィルト”の痕跡は其の時点で、途絶えたことになる。

「じゃ、そのポータルに行くことが目的になるじゃんよ?」

 言われてみればその通りである。

 ポータルにはログが残る。

 まあ、ログを残さない抜け道はあるけども...

 その方法は現実的ではない。


 ポータルでは常に利用者ごとにポータル利用時間が記録される。

 24時間を分刻みで稼働中のポータルでは、タイムスケジュールとで差異が無いかを二重チェックしている。そのため、仮に使用ログだけを()()した場合、この二重チェックにて違反が24時間後に発覚する恐れがある。

 改竄するとなると、ポータルそのものにも、接続アクセスしてしまわなければならない。

 だから現実的ではないという意味。




 それでも...

 それでも、すでに数か月もの時間が流れている。

「確かに厄介だとは思うけど」


「電算室の不手際という事で」


「いやいや、あっちこっちに首を突っ込んだのはボクたちの方だ。それらを棚に上げて...誰が悪かったなんて罪の言い逃れなんてできやしないよ。まあ、ポータルに行ければ...行き先が分かるとは思うけども、どのみち、南極と北極のポータルは、表の“地球”につながってた筈だ」

 魔界はフレームで言えば、地球の裏側みたいなもの。

 パーテーションで区切られた世界ではないんだけど――

 感覚的な答えかなあ。


 で、だ。

 表の世界のどこへ出るかなんだ。

 ただし、アクセス権限とともにマスタキーが必要になる。

「聖櫃ってのがただのNPCってんなら()()危惧はないんだけど」

 ボクがロード種に弟子だと与えた亜人種たちは、みな、NPCだった。

 かつてのAIたちよりかは、はるかに高い感情を持ったニュータイプなNPCだったと思うけど...

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