- C 354話 侵略者たち 29 -
「大気中のマナを取り込み、その永久...機関って」
ああ。
そういうとこで腑に落ちなくなった、か。
ボクは頭を掻きながら、
「もともと設計した世界では、大気中のマナが微量でね。取り込んだ後に、これを増幅する術式が必要だったんだ! 魔界では無駄と思しき魔術紋様の方程式が、二重になるよう幾度か重なって走ってたはずなんだわ...」
彼らにすると、コードを書いてた人物から得るものは大きいようで。
ムヒさんは、魔術紋様=いわゆる魔紋学という学問に、嵌ったひとりだという。
まあ、無理もない。
あれは芸術的な美しさがある。
そうだなあ。
交通標識のような、その「絵」だけで体を成す言葉だから。
「確かに不思議でした、師匠!!」
おお、ボクはとうとう彼女の中で、師匠に格上げされましたあー!!!
ってはしゃいでみせて...
実は落ちるのも早い。
アロガンスから『調子に乗るな!』と、しかられたばかりです。
そそ、今しがた、ね。
「だけど、魔界でも天然結晶ともなると...入手は難しいですが」
まだ、ちょっと敬語が見え隠れ。
マナの自然溜まりでしか、なかなか拝めることの出来ない代物だ。
こっちだけじゃない。
どの世界線でも、マナの結晶体というのは高価なのだ。
で、どうするか。
先人たちはレイラインを読み解く方法を考え出す。
先の魔術紋様とその組み合わせで、マナの暦を作った。
殆ど占いみたいな確率だけど...
無いよりかは、ね...マシってレベル。
「そこで考えられるのが、マナ鉱石。考え方としては、分岐点を多く作り、元々の本流のから傍流へ流し込む。そうして、人工的に地下湖水を作り上げて...これを採取するのが、マナ鉱石の作り方だと思われる。...いや、ボクだったら恐らくそうするだろうって思って」
ボク自身と対話するかのように、瞑想すると、何か見えるような気がする。
◇
スク水の肩ひもは、
まだ、片方が小さな膨らみの上乳の上で、くすぶってる。
「聖櫃も飛行ゴーレムの詳細な設計図を持っている。ただ、それが...ウナちゃんや、ムヒさんらと同じで、そしてボクから見ても未完成だったもの。要するに半永久的に飛行し続けられるようにする為の永久機関が必要だと、分かっている者がリーダーか、その側近にあるという事だ!! で、何が必要で...どうしたら手に入るかまでも」
「分かっている?!」
クロアさんはボクの肩ひもを直そうと、
腕を伸ばしてきた。
ただ、ただ...運が悪かったかも。
彼女の細い指が、
ボクの上乳に触れたんで...甘い声が出ちゃった。
「ひゃっ」
ってのなんだけど。
眠りかけてた、エサちゃんが目覚める。
上唇と、下唇をぺろりと舐めまわすと、ですね...飛びついてきた。
うわ、キモイ!!!!
もう、動きはバイ〇ハ〇ード系のクリーチャーと、なんら変わらん動きで。
ボクのスク水を剥ぎ取ろうとしてくる。
ややややややや...
ちょい、ちょい!! 痛い、痛い、痛いって!!!
喰い込む、喰い込んでる、イケないトコに食い込んでる...ちぃーでる、引っ張るなああああ
◆
「これで鎮圧?」
第一警戒線“モーダ”城塞の外縁城壁から、目を凝らしてみる監視者たちがある。
各々150メートル前後に円筒状の見張り台があって。
3人でじっと昏い地平線を睨んでた。
開戦直後は、凄まじい戦闘で血と、腐臭が周囲を汚染してた。
が、緒戦だけで城塞に詰める首脳陣が危惧したような、殺し合いにまで発展しなかった。
四領王を幽閉したことが......
結果的に引き潰し合いってのに成らなかったと、みている。
「本当か?」
「と、言うと...」
国内から陸軍だけでも招集されたのは、中央で燻ってた4個軍団。
演習で二領と三領の国境線で、ちょっかいという行為をしている2個の旅団を除けば、だ。
大規模な戦闘だったのは、ここ...“モーダ”城塞だけとなる。
「敵の規模が分からないというのに、これで終結したと言っていいのか?!!」
「まあ、なるほど...って言って欲しいんだな」
言葉でド突きあう軍団長たち。
執政官は、書類の山の中にある。




