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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1478/2521

- C 353話 侵略者たち 28 -

 魔界時間で丁度、1世紀分。

 身に覚えのないボクらの忘れ物は、魔界でも劇的な物流革命を引き起こした。

 帆船から蒸気船となって、鋼鉄の船が浮かぶまでに進化するように。

 各国に遺された、怪鳥ゴーレムは研究対象となっていく――魔紋学だとか、ゴーレム学なんてのも次々に生まれていき、あれから1世紀も経って...尚も人々を惹きつけ熱の冷めない、ハイセンスな学問として継承されてきた。

 ...っ、らしい。


 マジか。

 ボクの忘れ物、凄まじすぎる。

「作り過ぎなんだよ」

 ボクの後頭部を叩くアロガンス。


 “タマネギ”ちゃんズの話のようだ。

 今でも、郊外では農作業で大活躍している現役の子があるらしい。

 恐るべき耐久力と、学習能力である。


「感心するのはいいけど、悪さに使用されなかっただけ...有難く思ってよね」

 紛争が起きないのは、天領軍の睨みが効いてるからだろう。

「そんな()()あるか!!」

 再びアロガンスから叩かれた。

 ぽんぽんボクの頭を叩かないで欲しいな。

 この中には、叡智が眠っているのだから...


「...随分と前からだが、火種がくすぶってる。四領王なんかはいい例だし、五領だって実のとこ、特別な事じゃあない。ゲートの無断使用を認めないってだけで、実際は、本当の監視なんてできているか分からんし、監視者が買収されている可能性は否定できない。...それでも統一王朝を支える、一領王、二領王、三領王と...12領王があって残りの領王を見張っているから。多少の何かしら適な抑止力として機能はしてた。が、もう、破綻しかけている」

 再び、ボクは飛ぶように挙手してた。

 凹凸のないボクですが、飛ぶときは高く飛べるんですよ!!

「何?」

 ムヒさんの目に止まる。

 実際には鬱陶しいと思ったのだという、が。


「1~3領王は御親戚だってのは分かったけど...何で、12領王が絡むの?」

 ボクの目が点になる。

 ムヒ、ウナ、クロアに、エサちゃんも点になって...

 キルダ・オリジナルが、

「天領は12領にあるからだよ」

 だって。

 え?!!!



 12領王は、中央の巨大大陸にはない。

 大海を挟んだ、別の大陸に存在し、各領王の直接的交流もない。

 ただ、領国の出張所みたいな狭い土地が山岳地域にあった。


 その猫の額のようなトコを...

「12領だと偽ってたたあああ?!」

 ボクが転がった。

 とこどころ真っ平で凹凸も無いから、転がったとてただまっすぐ、壁の方へと。

 むなしい。

 エサちゃんも面白半分で同じことを...

 彼女は、お尻の方がすこし大きく、緩やかにカーブを描くように元居たところへ戻っていく。


 何だろう、この怒りは?

 この悔しさは?

 そして、悲しさは?


「ドンマイ、マル」

 ウナちゃんがボクの傍にいる。

 ああ、君も同じことをしたのか...

「仲がいいのは強調しなくていい。結論から言うと、ゴーレムマイスターの称号を持つ技術者から何かないのかね?」

 苛立つのはムヒさん。

 妹さんと遊ぶボクの姿は、平穏な場ならば然して問題はないけど。

 こと聖櫃が絡むのだとすると。

 心穏やかにはいられないという。


 分かる...なんとなくだけど。


「この魔界せかいのような場で設計したのであれば、ボクの術式は()()“書き換え”られる...精霊マナ結晶による半永久機関で超高高空かつ、いつまでも飛ぶことができる夢の乗り物になると!!!」

 大気中に充満するマナを浮遊魔術の糧とし、機内の動力源にはマナ溜りによって出来た、天然結晶を触媒とする魔術回路の応用でこと足りる。

 また、天然結晶のマナ補給も、大気中から充填できれば半ではなく、永久機関となる。

 農作業で今も現役だとすると、学習機能のあったゴーレムたちは、自らそのアンサーに行き着いた可能性すらある。

「ちょ、ちょっと待って!」


「はいはい、どうぞ」

 ボクは、スク水を脱ごうとしてた。

 ウナちゃんが返してほしいのかと...

「ちゃうわ! てか、それは私のじゃなくて、皇帝陛下のJC時代のだ!!!!」


「うわ、それはなんと貴重な」

 嗅ぐ素振り。

「洗濯済みですが、嗅がないでください」

 ああ、そっか。

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