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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1476/2520

- C 351話 侵略者たち 26 -

「返事を渋られていると?!」

 枢機卿が膝を抱えて、ソファーで小さくなってる。

 気が弱すぎて倒れそうである。

 四領は虚勢だけで、やや平和だから正教会も、彼を派遣した。


 まさか、渦中になろうとはおもってもみない。

 正教会としても――『一日でも早く帰国せよ! そちらでの仕事は、すべて後任の者に任せて安心するのだ』と、気遣ってるのだけど。気弱な枢機卿にしてみれば、これも悪い方に受け取ってしまった。

 すでに後任の司教区長・枢機卿が選出され準備万端。

 気弱な枢機卿じぶんでは、任務の遂行は困難であるから降格しよう、とか。

 そうやってマイナスに思考を落とし込むと、手の震えが止まらなく...なるようだ。

 典型的な()()の症状が出ている。


「はい、しかも勘繰られてて...この際は、国内の内情を明らかにし、」

 会話を遮られた。

 執政官は、

「明かすのは容易い。だが、プチとはいえ、これは叛逆行為である。王を裏切ったのだ...事態が好転し、天領の支えも無くなった時...我々が、これまでの事を反故にする行動に出ないとも保証は出来ない...と、彼らは考えるだろう。今の渋り具合からしても、十中八九、裏目に出ると予測して最悪の回避に努めねばならない!!」

 後ろめたい事があるから、そういう行動にでる。

 いや、考えた。

 考えちゃって、余計に気を巡らせる。


 そんな事を考えなくてもいいのに。



 皇帝の居室。

 手紙卓のあるプライベート空間で、だ。

 彼女の赤面が見れる、芸能雑誌を皆で見る――漁ると、出るわ出る...世俗まみれじゃないですか!!ってな感じで、泣いちゃったので...

「聖櫃のことに話を戻そうか?」


「五領が戦場になった理由はズバリ! 野外訓練場が欲しかったから」

 これは飛躍し過ぎたか。

 否、これこそが第一のテーマだ。

 ポータルの無い五領王に、その知識みわざを与える。

 使い方がどうとかは、彼らの与り知らぬことだけど。


 爆弾の作り方を教えれば、意図に関係なく共犯だ。

 しかも、誘導しているのだから猶更だ。

『先王の姿がこの転移門さきで目撃された』とか、仄めかしたのだろう。

 キャベ・ジンは叔父を求めて()を開く。

 その行動が、天領の逆鱗に触れるものだと知らずに、だ。

「五領が虎の尾を踏むよう、仕向けられた?! ...と?」


「聖櫃の動向に気を配ってた、あなたがただ。...五領に入った者も感知してただろう?」

 ボクの指先は、キルダ似の小さな剣士に向いている。

 意図的にではなく、指さして無事そうな相手を選んでた――皇帝クロアは論外、ムヒさんとウナちゃんからバッサリ切られそう。ウナちゃんに向けるのも...変。

 魔界との連絡は、毎回とっていたのだろうけども、こっちはボクを監視してたはずだ。

 ムヒさんも、ボクの方が知らないし。

 指さしたら齧られそう。


 で、それとなく...

 身長に見合わない長い太刀の切っ先が、ボクの指先に刺さる――お、こりゃ、マジ痛いっ!!


「いったあ~い!!!」

 指先から、大袈裟に血が出やがったです。

 いや、刺されれば血もでるさ。

「テキトーにこっちを指さすな、まな板! 大根でもすり下ろされたいか、おろし金の分際で」

 あ、辛辣。

 雑種が、まで言われた。

 この剣士、苦手。

「マルちゃんに喧嘩売るなら、わたしが買うよ!!!」

 って、エサちゃんが飛び込んできて...

 剣士に、蹴り飛ばされた。

「きゃんきゃん喚くな!!」

 皇帝クロアも慄く、チビ剣士。

 指先を舐めてるボクは、

「...っ、話をすすめて、」


「構わぬぞ! な、弟子よ?」

 クロアが頷き、

 剣士は、袖に戻る。

 この子、何者...



「話を戻そう! ボクらはまんまと、聖櫃らの掌の上でダンスを踊らされた。各人とも、躍らせ具合には差異がある。ま、ボクを診て貰えばいい、爪は剥がされ、服を失い、そしてこのちびっ子剣士に指まで刺された!!!!」

 根には持つ。

 剣士の瞳がボクを穿つ。

 ああ、まな板を...ですね、お嬢さん?

「知るか、キサマの身の上など小さい事ではないか。迷惑をこうむったのは、天領軍である!!」

 剣士は腕を組んで、ふんぞり返る。

 それをさせてしまってる点で、皇帝との力関係が分かる。

「もしや...」


「剣術指南役の」

 クロアが紹介するシーンに割り込み、

「俺様が、キルダ・ファイル・オリジナルじゃ!!」

 さらにふんぞり返る。

 キルダ・ファイル当人だけに及ぶ、個人特異点が発生してた。

 と、いうか...隣の世界へ転がり込む性質たちの時間牢獄。

「じゃ、えっと、」

 クロアは肯定しなかったけど...

 オリジナルなのだから、天才剣士は伊達じゃないと。

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