- C 350話 侵略者たち 25 -
「で、正教会司教区から連絡が入ったと思えば...助力の嘆願?」
ウサギちゃんが、巨乳姫を見上げてる。
四領王には上から目線で、告げといて――酷い剣幕で追い返されたのは記憶に新しい。
てか、まだしっかり覚えてる。
士官食堂を占拠するふたり。
ブリッジは艦長に任せ、部屋に引き籠ろうとしたところで――料理長と揉める代将を発見した。実のところ指揮所で、ボロボロこぼして食べる、喰いじの汚い姫さんに艦長がぷちキレて追い出されたところ。
口に放り込んでたのは、クルミ。
殻をハンドガンのグリップ部分で砕き、中身をほじって喰ってた。
その拳銃の扱いにも、苦言を呈する。
「大丈夫、ほら...安全装置が」
かかってない。
ロックされてなくて...
「いや、ほら...あれだ、スライド引かないと」
副長が姫から銃を取り上げ、
薬室の中を覗き込む――9ミリの真鍮が鈍く光ってた。
「艦長、これはOUTです」
だって。
◇
「あんた、バカなんじゃないの?」
調理長から、食材として使わない部材を貰い受けたウサギちゃん。
箱の中を漁ってた。
「それは?」
「賞味期限切れ手前の野菜たち。萎れたレタスに...くたびれたキャベツ。あとは...こんな切れ端の牛蒡と、料理長がこっそり忍ばせてくれた、ニンジン!!」
調理できそうな色合いだけど、
シーラビット族の目からでは、やはり鮮度が一段落ちているのだという。
また、グルメなラウンドラビット族という獣人は、それらを畑に棄てて肥料にするという。
「なるほどねえ」
箱から出したニンジンを咥え、
食堂に設置された椅子に飛びつこうとしているけど...残念。
彼女の身長と大差ないようで、上がれそうにもない。
代将の副長が手を差し伸べても、プライドが許さないのか――「ちょっと、余計なことしないで! 士官だった時はこう、ちゃんと乗れたんだから!!!」――ええ、その時はその時でしょうとも。
だって、同期が踏み台を作ってくれたもの。
世話が焼けるって...
「...あ、あんがと...でも、でもさあ。おっぱいを掴みながら、身体を持ち上げなくてもよくない? 糞恥ずかしい上に、ちょっとTKB勃ったの分かってるよね?」
巨乳姫は明後日から、珈琲を受け取ってた。
◇
で、再検討。
ハナ姉も相席が許されたような雰囲気だけど。
彼女と少年兵は元から、その隣席でデザートを食べてた。
本日のデザート
“絶叫トマトゼリー”
トマトのままの塊を潰すと、中からフレッシュなトマトジュースが、あふれ出すというギミック。
効果音が付いてて、マンドラゴラの叫びが再生されるらしい。
アホだ。
「ごめんね、君たち」
巨乳姫の悪気の無い巨乳が目を惹く。
ハナ姉さえも自分のと比較し、なぜか怒りを覚えてた。
「一度は突き放された案件だけど、事情が変わったといえば...果たしてどんなことが考えられるんだろう?」
(他国から)要請されれば、世界の警察と自負する天領軍はどこのどんな場所にでも赴く。
これは、12魔王領太守との契約である。
統一王朝は、この相互関係で一枚岩となってた。
ただし、全てではない。
自国の国力だけで対処できなかった場合のみ――なんて条件もある。
「クーデター」
銀色に鈍く光るフォークがふたりの高級将校へ向けられてた。
憤るは、御付きの将校らである。
ま、少佐より上のひとたちだけど...
「何を根拠に?」
ニンジンの先が、同様にハナ姉に向けられた。
フォークほど怖くは無いんだけども、
「プライドの高い為政者が態度を変える時は、罠に嵌める時か或いは、自身じゃどうしようも出来なくなった時だけ。つまり、国家元首が玉座から、引きずり降ろされたと見ると妥当な気がしないかな?」
四領王の情報は、少年兵からだ。
それらを考慮すると...
我儘な王さまは、その権力を奪われたと見る事が出来る。
「ふうむ」
巨乳姫は頷く。
御付きの世話好きな人々は、難しそうな、悔しそうに睨んでくる。
ああ、支えてるってアピールしたかったのか。




