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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1474/2520

- C 349話 侵略者たち 24 -

 四領正規軍と対峙している侵略軍3000人は、半日の衝突で極度の消耗戦に付き合わされた。

 もっとも甚大な被害は、もとより兵の数で劣る侵略軍だ。

 アンプルの致死率は、観測者の見積もりよりも高く、8割死ぬ。

 その恐怖から心胆ハートを守るため“鼓舞”が必要だった。


 狂戦士化した獣人モードは、驚異的な回復力と耐性、強靭な肉体に戦闘センスを与えてくれる。

 これの獲得にはただ一つ。

 死に打ち克つ、強い精神力ハートだけである。

 故に絞り出される力の根源は、死に瀕する魂の叫びなわけだ。

 効果が切れれば――命も尽きる。


 普通に死ぬか、

 戦って死ぬか、

 或いは...


 アホの境地。



 なんでそこまでするのか。

 彼らにしても生き残る為なのだ。

 すでに100名くらいは移住した。


 王都を目指す将軍も、内心――

 “もう、眠ってもいい頃だろう”って、考えないことはない。

「閣下...」

 アンプルへの耐性が高い、選抜戦士で構成された軍でも。

 死への恐怖は拭い難い。

 次は自分だと思うと...

 精神力がもたない個体が出た。

「ドクター、彼らは」


「拒絶反応じゃな。アンプルの毒性から身体を守るため、ワクチンは事前に投与されてある。その不活化された狂化菌ベルセルクが息を吹き返したのかもしれぬな...」

 研究所でも見なかった症例ではない。

 ただ、極稀な症例で十分な検証が行えなかった。

 というよりも、彼らの世界が、その時間を捻出できなかった。

「治せ、るかってのは...愚問か?」


「...っ、はい。現段階では、耐性を得るために...微量の接取であるのが、幸いとみるべきでしょう。毒性が強い為、彼らを動かすことも叶いません」

 見捨てるという選択肢はある。

 ただし、見捨てたとしても将軍と3000人たちには行く当てはない。

「敵だと思ってた、四領王の厚意により...夜討ち、空爆などがされないことが」

 深く息を吐きながら、

「こんなにも有難いと思うとは、な...」



 同じ頃、四領でも上がってた“カイザー・ヴィルト”を空中で給油させたり、着陸させて整備させたりしてた。彼らの飛行士たちも母艦があろうと、なかろうと紛争という点で心労が酷く溜まってた。

 少年・少女が多いのが魔法飛行士の特徴だからだ。

 四領王は『兵士が何人死のうとも構わぬから、余に恥をかかせた愚か者どもに!! 正しき神の鉄槌を降ろすがよい!!!!』とか非人道的なことを喚いてた。

 これは流石に全軍の士気が落ちると判断した、将軍たちによる“プチ・クーデター”によって王は幽閉。

 女神正教会と執政官による代行支配で、国が回ってた。

 いや、回さる得なかったとも言い替えられる。

「これ、やっぱ反乱ですよね」

 やや気弱な枢機卿。

 五領のところとは覇気がない。

 天領から派遣されて10年くらい経つ。

「もう、腹は括ってくださいよ。...いやいや、腹を召すんじゃなく、んんんん...」

 執政官は咳払いしつつ、

 生ちっろい腹を出そうとする枢機卿を止める。

「腹、かっ捌かないでくださいよ、こっちが怖い!!」


「あ、いや、あ...でも」


「括る! く・く・る・ですよ、括る」

 ああ、もう。

 色んな人いるなあ。

「天領軍ってこの近くに未だ、居たりしますかねえ」

 執政官は、将軍たちからの陳情にも目を通している。

 王によって撥ね付けた助力ものを、自分たちの都合で取り返せるかの相談。

 臆病な枢機卿の顔も急に暗くなる。

 いや、なんか嫌そうって見えて...

「居ても...やっぱ、いや、どうしよう」

 クネクネしてる。

 キモイ。

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