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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1472/2520

- C 347話 侵略者たち 22 -

「あれは人狼というよりも、魔獣そのものでは...ないか?」

 と、呟く。

 でもう一度、偽薬であるアンプルへと視線を向けた。

 導師の中で一つの疑問が浮かんでだ。

《この薬は、魔狼族の力を本当に引き出している...のだろうか?!》

 獣化したオオカミたちは、

 何かの儀式のように、吠え叫び、背に負う仲間たちへ遠吠えを残す。

「あれは...鼓舞か?」

 独り言だ。

 ぽつりと呟いたに過ぎないけど、

 ふと、臓腑の真ん中で合点がいくように、落ち着くのを感じた。


 鼓舞だと考えると。

 遠吠えは、次にアンプルを打つ者への手向けなのではないだろうか。

「あれの、致死率を上げるのは“恐怖”だ!!!」


「いえ、恐怖ってストレスでは?」


「いや、元より致死率は高いのだ。恐らくは6~7割の無謀というような、賭けなのだ」

 と言ってから、アンプルを手に入れた自分たちにも呆れた。

 その手の技術は既にあり、そして棄てたものだ。

 剪定される先の無い未来から得た技術...

「騙されたのか、或いはそういう事か」

 導師を見る目がある。

 白服の研究員らだ。

 記録は未だ必要かとか、撤収は?などの問いもあるのだろう。

 有象無象の目が今、彼に注がれてた。

「導師?」


「撤収だ!! 宗主には私から説明する」

 と、残し――彼らは忽然と、望楼から消えた。

 掻き消えたと言ってもいい。

 いや、元から居なかったとも...痕跡そのものが無くなったのである。



 天領の第5艦隊がキャッチしたのは、跳躍魔法の痕跡だ。

「同一座標の別エリア...だと?!」

 追跡できたものを見て驚愕してた。

 ボク的には、驚きはしないけど。

 この魔界せかいが似た形で、同時並列に存在しますよって聞かされたら、みんなどう思うだろう?

 まあ、大概の人は...

 言った本人であるボクを気の触れた、ガキだと思うだろう。

 跳躍先が()()であるように。


 世界は、ストレージの容量と数だけ存在している。

 聖櫃の連中は、ソレを知っているという事か...ちょっと厄介になってるなあ。

「この追跡は正しいのか?」

 “巨乳姫”提督が問い、

 星詠みの魔法士たちが頷く。


 で、そのやり取りに目をまるくさせてる“ウサギ”ちゃんがあって。

 眠そうなハナ姉が...。

 あれ、なんでハナ姉がブリッジに居るの?


 ノワールさんたちは、宛がわれた巡洋艦で魚釣ってた。

 仕事がないらしい。

 いや、艦隊としての仕事はある。

 ただねえ...

 四領王に対して、

『貴殿らに手に余るようならば、我らも尽力いたそうぞ!!』

 と上から言ったもんだから――臍曲げられた。

 いや、もとよりプライドの高い四領王がへりくだることは無い。

 知ってる正確なのに...



「だって癪に障るじゃないか! 征伐から天領われらを欺き、聖櫃とつるんでいたのだぞ?! たばかった報いを受けるべきなのだ」

 というのは、“巨乳姫”として個人の意見でしかない。

 軍の方針もいささかそっちに向いている。

 マナ鉱石の正体からしても、採取法次第で星が死ぬ。

「その我を突き通した結果、艦隊は再集結したものの...仕事がなくなったのは、どう皇帝陛下に詫びるんかな?」

 ウサギちゃんの耳が目端に目る。

 巨乳姫の傍にいるようだけど、姿が耳だけ。

 ちゃんと胸を退かせば、脇腹のちかくに直立している。

 人参を齧っているが。

「どうした、それ」


「くれないから...自分で調理場からくすねてきた。いや、それよりもだ!! この軍艦ふねには、ほかにどんな機能があるんだ?!」

 ハイブリッド艦であることは承知している。

 後部に飛行甲板があり、139ミリと105ミリ、76ミリの両用砲が連装で固められてある。

 一見すると、大型の巡洋艦にも見えるけど...後部から見ると、イメージはハリネズミっぽい。

「艦の中央に魔法術式を検索する“水鏡”という、星詠み魔法士が詰めてる。属性は大重巡で、艦首集中配置された305ミリ4連装砲が2基(8門)、洋上での制圧力よりも魔法士戦でのサポートがメインだろうなあ」

 だって。

 確かに艦橋も戦艦なみに大きく、高い。

 煙突が「Y」字のネギみたいに見えるし。

 今までの水上艦とはちょっと雰囲気が違ってた。

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