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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1233/2520

進撃のコシュマール、島影に芋る!

 寝落ちいや、これは単なる離籍だと思われる放置。

 艦長席からしたたる水音が、感じられるまで静かになったのは濃霧を利用して島影に船を移動させた後だった。

 1200トンの駆逐艦なら、砲駆であるコシュマールは適当に対処できる。

 そこそ撃ち合って四つに組み合っても、耐久HPの1割すら削られることはないだろう。

 が、こっちの砲弾も彼らには当たらない...のだけども。

「水音?」

 操舵士が振り返って、ボクの足元に水たまりがあると告げてくれた。

 み、みず?!

「まさか、浸水!!!!」

 んな、わけじゃない。

 船首楼のさらに上の上甲板に、箱型司令塔がある。

 ここまで浸水したら、船は致命的な状況ってことだ。

「いえ、その...」

 艦長席からしたたる水の音と。

 風流じゃないかと。

 見れば、ウナちゃんから絞り出されたような...

「くっ、そういう意味だったのか!!!」



 ハードモードの次の()は、ボクたちを探してた。

 這う這うの体で逃げ出した東洋の駆逐艦はバスコ級は、上級部隊に電信を打ってた。

 まあ、子分が泣かされたので、親分の登場といった状況だ。

 子供同士の喧嘩に親が出てくるとは、な...。



 観測器と共に上がったハナ姉は、双眼鏡ごしに索敵スキルで――敵影のステータスを覗き見る。

「7000トンのイーストエンド級が出てくるか...いや、さすがにハードモードだ。シーズンを通して常に最新鋭と紹介され、プレイヤーを苦しめる中ボス的位置の、と...見た目からも決して軽巡洋艦には見えないシルエットだが」

 相乗りの少年に「下へ降りる」と指示する。

 魔法士の少年兵には悩みがある。

 男の子としての生理的な悩みだ。

 姉さまの“たわわ”が当たるのだ、と...背中に。

 必要以上に前屈みになって「おい、おまえ! そんなに屈むと腹に腕を回すこちらも窮屈になるだろうが!」と、諫めるのだけど。こういう時のハナ姉は察しが悪くなる。

 彼は今、10代の蒼い悩みで...堂々と姉さまの身体を支えられないのだ。

 いや、反ったキノコが振れないかと気を揉んで――。



 調子の悪い()()()()を殴るのは万国共通。

 濃霧は、連続行動を目的とした本件の所謂、幕間的存在。

 仕切り直しが終われば、突如として晴れるようになる。


 次の戦場は、多島海から始まった。

 イーストエンド級巡洋艦と、ルソン級駆逐艦の艦隊は、晴れた後も厄介な島の中でボクたちを探すことになる。戦場は完全なるランダムから選択される。

 とは言っても、例えばエリアによって――“太平洋”を選択した場合、多島海はMAPから外されるし、大海原の確率はぐっと高い。いや、海原で見晴らしのいい海域しか、でない可能性もある。

「新型だからと飛びついた挙句、このありさまか?!」

 障害物に跳ね返るエーテル粒子が、受信機に戻るまでの長短の距離感で地形を把握する。

 所謂、レーダーであるが。

 これの精度は未だ、魔法使いの第六感の方が高かった。

 いや、魔法使いでも無いものが同じ事ができる、その点が優れているのだが。

 理解できる者は圧倒的に少ない。

「や、やめて、やめてください! 壊れます」


「もう壊れてるのだろ! 敵の船影が映らんぞ!!」

 とうとう蹴りだしてもいる。

 手が出れば自然と足も出るのが道理。

「こんなとこで隠れられたら」


「仮にもハードモードへ来た者どもだ! しかも僚艦を撃ち負かしたのだ!! で、あればそれは猛者、勇者に違いない。故に武人である我は、これを正面から叩き伏せなければ...皇の御子さまに顔向けが出来ぬ、のだ!!」

 と、高貴なる雰囲気の男は吠えてた。

 恐らくは、この船団の長であろう。

 ちょっとばっかし面倒な雰囲気がある。


 多島海での戦い方は幾通りかある。

 先の武人のように正面から出て戦う事も一つの手段だけど、損害は大きい。

 次につながっても、リザルトで修理費用が請求されるのは、火を見るより明らか。

 こんなんで、獲得クレジットをマイナスにしたら、ノワールさんにどんな辱めを受ける事か。


 もう一つは、一時的に島陰へ隠れるのは戦術的なアプローチ。

 或いは、しばらく様子見の戦略的な周辺警戒――こちらの姿を見られないようにしつつ、相手の動きをじっと観察するもの。

 あとまあ、いまひとつ...で、じっとする行動があって“芋”る。

 たた、ただ、ひたすらに隠れてやり過ごすという手だが...これは悪手だと、うん、思う。

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