進撃のコシュマール、魔法士とびぃま~すぅ!!
コシュマールの船体は軽巡洋艦を利用している。
実のところフィジカルポイントが余り過ぎてて、だいぶ勿体ないつくりなのだけど。
その船体には、付属品として魔法士の発艦用カタパルトが2基装備されてあった。
発艦にはいくつかやり方はあるんだけど。
一番やりたくないのが...このカタパルト。
油圧で押し出すものや、火薬の爆発力を使うってのもあったけど。
魔法士が空を飛ぶ世界では、助走なしで“フライ”を唱えるだけでいい。
椅子に座らされて、空へ放り出されるなんて、思ってもみないことだろう。
恐怖のバンシーチェアなんて言われてる呪いの椅子だ。
「怖くない、怖くない」
格納庫で泣きじゃくる子が続出。
まあ、分かってたさ。
カタパルトの傾斜角は32度。
空へ向けて目をつぶっても、風圧で顔どころか首がもげそうなほどキツイ。
ボクも試しに座ってみたことがある。
失神してそのまま、遠方の海へ落ちていった。
救助されなかったらOUTだったと思うわ。
「しゃきっとしろ!」
無茶を言う。
まあ、ハナ姉らしいといえば...
いや、何でもない。
「マル、無理だった」
心なしか姉さまが、落ち込んでいる様子。
こうなるとボクも弱い。
「じゃあさ、格納庫の上蓋部から“フライ”で飛んでみては?」
余計なことを言ったかもなあって。
「その判断に従う」
お姉ちゃんは嬉しいぞって聞こえたような気もする。
ハナ姉的には、自分から箒に跨って飛ぶ事も厭わないんだろうけど。
ボクたちがその力を行使したら...バランスが。
「その心配はない」
寝落ちしてた筈のウナちゃんの復活。
単にぐるぐる巻きにしてただけの椅子の上で、猟奇殺人事件も真っ青な絡まり具合で――物凄い目力をこちらに向けてきてた。
「えっと、何のこと?」
◇
「マルちゃんが魔法使いとして世界を破壊するという話!」
真面目に話そうとしている割には滑稽で仕方ない。
「その目が笑っているのは分かるから...これを、この窮屈さの改善求ム!」
絡まったというか。
あやとりの最中で何かを見失ったような...方向感覚だ!
「で、なぜ心配はないと?」
「世界を破壊するような力がないからだ」
いや、もとよりそんな力、ないんですけど。
付き合っていいのだろうか。
「この世界ではプレイヤーの心を持ったNPCである!」
ほう。
しかしですね。
ステータスウインドウを見ると、ボクのMP3桁の999なんだけど。
ユニークスキルでは、造船技師の外に賢者見習いとかある。
魔法使いではないとしても...
賢者って、ね。
そう...ね。
「私だって称号に「魔王」があるけど、MPは2桁の99だ......え?」
「は?」
◆
1200トンの方から悲鳴が聞こえた気がする。
高空からハンドベルをしこたま、投げ込まれてるような様子。
爆発、水柱、波被り...なんとなく散々なご様子だ。
「みてよ、ウナちゃん!!」
「見ておる」
俯きながら涙目だ。
ボクのステータスを見て自信を無くしたと見える。
「やっぱり航空兵力は強い!!」
「じゃな」




