進撃のコシュマール、抜錨!!
自動近作モード、THE放置プレイ。
聞こえも、字面も最悪な自動周回プログラムは、好評のようだ。
難易度は初心者さま用の「E、Dレベル」と、中堅者用に「C、Bレベル」、上級者向けに「A、Sレベル」がある。
「A」レベルは経験値がカンストしている向けの金策モードともいわれ、クレジットをわりと簡単に稼げるという口コミで広まった。
いや、経験値だって1回でNPC一人当たり10万EXPも入る。
Lv1の水夫を、Lv10にするほどの獲得値であるという。
中堅プレイヤーには未だ美味しい獲得経験値ではあるが、上級者ともなると旨味はほとんどない。
むしろ、大規模海戦に連れて行ってMVPを獲った方が効率がいいとまで言われる始末だ。
そういう事。
だから長時間拘束ではなく、適宜、短時間で回して育ち切れていないNPCのための周回にするのがセオリーだって言われてた。
そんなハードモードのエリアに来るまでの前知識では、だ。
「ウナちゃんが余計なこと言うから!」
Aレベルで1回のエリア探索を20秒で終わらせる――っていう(個人縛りの)ハードモードもどうかとも思ったけど。まさか、Sレベルに飛ばされるとは。
「Sレベルでの注意点を上げます!」
「はい」
ほかのNPCみたいに無表情なウナちゃんがある。
ん? もしや寝落ちかな...バツが悪くなって、いや、まさか...。
「敵は海賊です!」
「はい」
らしいですね。
要警戒エリアは“南シナ海”“フィリピン海”“セレベス多島海”“バンダ海”“ティモール海”“アラフラ海”“珊瑚海”“ビスマルク多島海”“ソロモン海”“タスマニア海”“太平洋(昏き海)”って感じのエリアに分かれる。
で、海賊が出るのは多島海地域。
ティモールとタスマニアは、南洋王国の軍艦が出張ってくる。
逆に太平洋あたりは、東洋艦隊のが表れて...協力? いや、まったく関係なく...ううん、脈絡もなく攻撃してくるという。
だからどんなベテランでも「S」レベルなんてのは受けないわけ。
羽振りが良くてもさ、船が中破しちゃったり沈んだりしたら、修理費用が...。
獲得報奨金から引かれるわけよ。
駆逐艦みたいな安い船でも修理費は何十万クレジットにもなる。
自分のマイホームを壊すほどのサイコパスは居ないって話。
「たまに敵対勢力認定の軍艦が出現します!」
それが意味わからん。
治安維持活動に従事してて...
「それは誰得の治安ですか?」
おおっと、能面なウナちゃんからぐりっと抉るような質問が...
「あ、えっと...」
「もう少し深く問いましょう、それは誰にとってですか?」
公海上の海域なら海事法に則ったボランティアだ。
ギルドからお掃除代金として報酬をもらうことになる。
となると...他国の支配地域でボランティア活動は...
「領海侵犯してると?」
「ですね、狙われて当然です! ですので、今、東洋の1200トン級の駆逐艦がポップしたところです」
講義中に交戦とかふざけてる!!!
この糞ゲーがああああ!!って騒いでたのは、ハナ姉で。
ボクは、寝落ちっぽいウナちゃんを艦長席に固定させると――
「艦体に告ぐ! これより戦闘に入る、全員、その輝きを見せろ!!!」
って伝声管じゃなくてアナウンスしてた。
まるっきりポップした船にも聞こえてるらしく、
『よくぞ応えた! 我が仇敵よ!!』
なんてアナウンスが返ってきたんだけど...
これ、何のフラグが立ったの???




