進撃のコシュマール推参!!
「で、呼び出した理由ってのが...」
ボクとハナ姉、序にいたウナちゃんがノワールさんの前に呼び出された。
台州の港には軍港が無い。
貿易船の中に“傭兵”たちの師物が混じっているという...
如何にも魔都・台州らしい光景だった。
「コシュマールを持ってきたから、遣って訓練に行ってきて」
眉間に皴が出来たのはボクだけじゃない。
特に皴が深いのがウナちゃんだ。
「私、関係ないじゃん!!」
ノワールさんも「誰、この子?」とか言ってた。
一緒に居たので、黒服の強面たちに一緒くたに扱われたクチ。
無害だとか、拉致だの、融解だのと騒ぎ立てたから今も、彼女はボクと同じように拘束されてある。
そのウナちゃんをまじまじと見つめ、
「あ、まあ...可愛いからいいや」
いいんだ!
「やだ、可愛いだなんて」
照れるのは、三十路手前の女性としてどうかと。
ま、若いって言われるのと同義語みたいなもんだから...
いいのか。
「で、君たちには!」
指さしたので、ハナ姉が噛みつこうとしてる。
ぐるるるるって喉が鳴ってるような。
「ちょ、」
「指ぃ、向けんなっ!」
「マルちゃん、躾け足りないよ!!」
お姉ちゃんでしょ。
分かってる。
躾できたとしても、それはボクの貞操の危機に繋がる。
指の1本、2本なら...まあ、我慢というかいや、処女膜は絶望的としても。
失神込みの潮吹きは、あれはダメだ。
だって、半日は仰向けのままで動けなくなる。
腰に力が入らないというか。
「12時間の貿易路警備命令です!!」
艦長さんの放置プレイだねソレ。
確か、最近導入されたNPC乗員のスキル熟練度を上げる目的で、各エリアごとに用意された地域の周回クエストだよね。スキルとパークの熟練度や数を取得していると、1回目のタイムアタックターンが早いから、効率よく経験値が稼げるとか言ってたね。
公式でも初心者にお勧めとか言ってたけど...
熟練者の方が多く利用していると聞いたな。
「よく知ってるじゃん!! 私よりも...」
ノワールさんに感心された。
が、姉が割って入って――「マルは歩く公式ハンドブックと呼ばれている!」――なんて無駄な自慢を披露してた。
姉ちゃんじゃないんだから、ハウス!!
「ハンドブックついでに12時間の報酬は?」
12時間拘束されるってだけで“時間/クレジット”って扱いじゃなかった筈。
例えば、1エリアの哨戒任務(=治安維持活動に従事した行動を含んでいて)が1回/1分だった場合、単純でも720回行動したという事になる。
その1回分の報酬×720で計算されるので...
すっごく仮にその1回分が“100”クレジットだった場合。
「720×100で...7万2000クレジット...少なっ!!」
答えを知った、ノワールさんは物凄くがっかりされてた。
「えええ!!」
「これ、初心者の支援プログラムですよ!」
眩暈がするとか言って、エルフ副長の膝に座り込んで。
彼も片膝を突いた状態で、彼女の背を支えてた。
律儀っつうか...何、付き合ってんの??
「7万クレジットはないわ、せめてその10倍はね」
1エリアの周回が1分かかった場合の目安で。
「よし、ちょっと強引だけど1エリアを20秒で制覇するよう心がけなさい!」
そんな無茶な。
そもそもインターバルなしで周回活動に入ると聞くし、どんなベテランでも12時間はないって。
「そんなに稼ぎたいなら抜け道くらいなら、あるよ?」
ここでウナちゃんが口を開く。
可愛いと褒められたからだろうか、やけにノワールさん寄りに歩み寄った。
「な、なに?!」
「難易度“S”級を狙うって話」
ダメだよ―それは!!!!




