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ハイファンタジー・オンライン  作者: さんぜん円ねこ
陽炎戦記
1218/2517

ところで、なんですけど

 お久しぶりです、私。

 氷山こおりやま ぎょうといいます。

 実は、ちょっと前に出てきてからすっかりご無沙汰でして、ね。


 誰も私のスジを弄ってくれないので、とうとう...私自身が乗り出してきちゃった。

 なんて、そんなところです。


 丸恵師匠せんせいには、新しい仕事があると紹介はされたんです。

 でもねえ~

 時期が悪かったんで、その時は仮登録だけに留めて。

 暫くログインしてなかったら、いつの間にか新シーズン始まってるって言うじゃないですか!!

 びっくりでした。

「姫さま?」

 どちらの方とお話で?なんて、侍従長が問うてきた。

 白髪の老紳士。

 眉毛まで雪のように白くて長いのが特徴。

 私は“白ヤギさん”と蔭でいうようにしてたり。

「いえ、えっと...今までの報告を?」


「報告、()?」

 瞬きだと思しき感じで、眉毛が非常に早く痙攣でもしているような――

 “白ヤギさん”は私の身を案じて、共に故郷くにを出奔してくれた人でもある。

 大事な人がたくさんいたであろうにも関わらず。

「いや、儂のようなジジイにはもう、子供も大きくなり...助けなどいらんでしょう。ま、孫には(もう...)会えないでしょうが、儂には姫さまが居られます!!」

 殊勝な事を言う。

 ぎょうちゃん、涙が出てくるよ。

 おっと、私。

 仮登録してたNPCガチャなんですけど。

 病人優遇とか補正値、効いてるんですかね?

 今回も結構、重要なのが来ましたよw


 前は、()()()()()でしたけど。


 スカイトバーク王国王位継承11番目、末姫のフィズ・アーチペラゴーニュ。

 母方の姓を名乗る少女である。

 えっと、12歳で...っ、半年前に初潮を迎えた、半分レディな糞生意気な娘だ。

 自分自身の評価をすれば、まあ、こういう表現であってるはず。

 アーチペラゴーニュの母の父の父へと6代いや、9代遡ると...ペンドラゴンって苗字が出てくるけど、まあ、ここまで遡ってくと眉唾の気がしてならない。それにさあ、記憶の方は嫌でも()()最近なわけで。

 紅いドラゴンに食われちゃった、ハーフエルフの“ウーゼル・ウセディグ”のこともある。

 あれがペンドラゴン家のもう一つの現実そうていだとすると...寒気が。

「姫さま、これを」

 身震いが、寒さから来たのだと勘違いされた。

 私を観察している証左だけど。

 ちょっと過保護です。

「大丈夫だって」


「いえいえ、姫さまの御身体は大事です!」

 抵抗勢力を率いるリーダーいや、精神的支柱という点で、極めて重要なポジションにある。

 皆が私の一挙手一投速を見ている。

 注視している。

 そして、私には自由がない。

「今でも悪夢を見られますか?」

 肩に羽織らせてくれたのはガウン。

 国から持ち出せたもののひとつで、貴重という割には売ったところで大した額にはならないだろう。

 私がスカイトバーク王国の姫であるという身分の証明は、オーラのような魔法力と王家の証たる痣である。

 装飾品の類でないのがやや寂しい。

 身体能力だと手放すことが出来ないからだ。

「う、うん...」

 父王に拝謁した旅商人から始まった、伝染病のような奇々怪々な出来事。

 私にはそれが悪夢のように見えた。

 5人いた母は、気が振れでもしたように憤死して、兄や姉もまるで別人のようになった。


 今にして思えば、魂が入れ替わったような。

 故に身体である器が耐えられなかった者は、憤死という形で肉体が滅んだのだと思われる。

 私たち王族は魔法耐性がある。

 故に悪魔の儀式にも耐えられたのでは――?

「皆が、姫さまのお姿を心待ちにしておいでです」

 侍従長と私の仲を裂くように、騎士然とした肥えた男が入室してきた。

 ノックもなしにレディの部屋へ。

 当然、侍従長の憤慨はある。

 彼は一瞥して、冷ややかな視線を投げた。

「殿下は我らの旗頭! ここから世界が動くのだ!!!」

 一蹴とまではいかないものの、老人にはいたわりが必要だ。

 私もこの騎士然とした男が嫌いだ。


 うん、私はスカイトバーク王国が末姫、フィズ・アーチペラゴーニュ。

 反体制派勢力のリーダーである!!

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