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猫と秋刀魚の話  作者: 芥川 餃子之助
1/1

プロローグ

マスクをして家を出た

マスクは良い マフラーをせずとも暖かだし 鼻から下を隠せるから3割増しで美人に見える それと表情を読み取られないから 表情に気をつける必要もない

それに今現在季節は夏から秋へ衣替えを始めた つまるところ季節の変わり目、風邪の流行。

この布マスクに違和感はない。いろんな意味で。

市営地下鉄は人でごった返している いつもより4分弱出発を緩めるだけでこれなのは毎度毎度嫌気がさす。

職場までは六駅 読みかけの小説を程よい禿げ方をしたおじさまの腕に圧をかけつつ開いた。

外はもうすっかりというか いつのまにか秋の色に深々と染め上げられて 薄手のコートを必要としている なんだか彼氏が誰からもらったか分からない手袋をしてるような感じだけど 仕方がない。

「東堂秋子」と明朝体で書かれた名前を首にぶら下げてオフィスへと入った。

ぬるい暖房がそこらに充満している 頭の奥で誰かの憫笑が聞こえた。

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