02話. リャナンシー
遺跡とは――
1.古い時代に建てられた建物、工作物や歴史的事件があったためになんらかの痕跡が残されている場所。古跡。旧跡。
2.過去の人間の営みの跡が残されている場所。
遺跡とは、過去の人々の生活の痕跡がまとまって面的に残存しているもの、および工作物、建築物、土木構造物の単体の痕跡、施設の痕跡、もしくはそれらが集まって一体になっているものを指している。内容からみれば、お互いに関連しあう遺構の集合、遺構とそれにともなう遺物が一体となって過去の痕跡として残存しているものを指す。
遺跡調査とは、
遺跡の調査によって、遺構とそれにともなう遺物を確認し、その検出や出土の状況、また類似事例を比較ないし検討することによって、モノという限られた情報であるが、当時の人々の文化や生活の営みばかりではなく、その社会の特徴、さらには人びとの価値観や世界観についても、ある程度推定し、復元することができる。
――とWikipediaに載っていた気がする。ん?Wikipediaって何者?どこの偉い先生?
等と考えながら私は東の地上遺跡を目指していた。
東の地上遺跡はコロニーから徒歩で1日判かかる距離の場所にある。基本、乗り物は無いので徒歩になる。
遥か昔は機械仕掛けの乗り物で陸、海、空を行き来してたらしいが今は無い。他にも馬、象、駱駝など動物によって移動手段も有ったが魔物により絶滅した。なので移動は徒歩しかない。
遺跡とも言えない朽ちた、かなり古い廃墟や、木々の根によって平らな道もあまり無いそして、魔物の出るので移動だけでも一苦労である。その上、探窟屋は、もっと大変になる。
探窟は数日単位が多いので、数日分の食糧、キャンプ道具、その上武器、探窟道具を持たねばならない。そして、帰りは遺物が増えるので大変である。
私はと言うと、白きゅんがいるから行きも帰りも、ほぼ手ぶらすんでいる。本当に便利!
遺跡に向かう途中、魔物に数度遭遇する。基本、探窟屋は魔物の戦闘を避けるため迂回や罠を張っり逃げる必要が有るが、私は強欲なので戦闘能力有るので、倒しながら進む。そして、日が沈む前に拓けた場所を探しテントを張って明日の準備をする。
魔物が食べ物の匂いで寄ってくるので、あまり匂いのしない干し肉とパンを白きゅんから出して食る。そして、食べ終えらと明日の装備を準備する。
「明日の装備は――グレートモス相手になるから、遺物武器ハンドガン、サブマシンガン、グレネードかな。後は汎用弾に火属性のと、マジックブレイクをエンチャントして装填と、それとエンチャントした予備弾も準備と――」
【汎用弾】
エンチャント効果を持続できる弾丸。但し、前もってエンチャント出来るのは一つだけになる。状況に応じてその場で上書きもできる。
銃はエアライフルが基本になるため、単発式のエアライフルでは、弾丸にエンチャントして装填していては時間のロスが有るため、少しでも時間のロスを無くす為に開発された弾丸である。
装備の準備が終わると、やることがないので明日の為に寝ることにした。見張りは白きゅんがしているので安心! 何度も言うが本当便利!
私は朝方、大きな音と共に地鳴り、鳥の鳴き声、木々の倒れる音、廃墟が崩れる音など色々な音で目が覚め、キャンプ道具等をしまい、近くの高い廃墟の屋上に登り音のする方を確認。
そこには、山のような大きな六本足のドラゴンが歩いていた。どうやら、古龍種だ。
「なんて大きさ、まるで山が動いてるみたい。それにしても、古龍がこんなにもコロニーの近くを通るなんて、今頃コロニーは大騒ぎだろうな。えっと古龍の向かう先は? ――コロニーじゃないみたいね。あ、成る程ね最近のブラックファングの大量発生はこれが原因か!」
古龍種は、この世界で最強クラスであろう。そして、天災と同じで人の力では、どうにもならない、ただ通り過ぎるのを待つしかない。
古龍を眺めながら朝食を食べながら思う。
「しかし何を食べたら、あそこまででかくなるのやら? 古龍種の七不思議の一つだね。――食事も終わったし遺跡に向かいますか」
古龍の目覚ましのお陰で昼前には遺跡に着いたが、どうやら先客が居るようだ。剣闘士♂二人、魔導士♀の三人パーティーの狩人がグレートモスを狩に来ていたみたいだが。
様子を伺うと、囲まれている状態の上、前衛の一人がグレートモスの毒に侵され倒れいている。他の二人も必死で戦ってはいるが長くは持たない。
「あれは不味いね、このままでは全滅する」
サクラは助けに入る。
「身体強化術式展開、空間座標確認、目標ロックオン、連続爆炎術式展開――ゴォー」銃口に魔方陣が浮かび上がる。
サクラは遺物武器のサブマシンガンとハンドガンで術式を展開しながら狩人の救助に向かった。
爆炎が轟く。
術式でグレートモスをロックオンしているため命中補正がかかる、そのため多少グレートモスが動いても誘導し命中する。グレートモスに弾丸が当たると爆発が起き毒鱗粉ごと焼き払う。グレートモスは脅威をサクラと考え攻撃対象に変更する。
「あー勿体無い! グレートモスの鱗粉と体液はいい値で売れるのに、泣ける」
などと言いながら救助の為と自分に言い聞かせる。
狩人達と合流し、避難のために遺跡に逃げる様に指示する。
「此処は引き受けるから、倒れた仲間を連れて遺跡へ!」
「「え?子供?」」
「いいから速く!」
サクラに怒鳴られびっくりするも、倒れた仲間を担いで遺跡へと向かう。
「よし! これで心置無く戦える!元々グレートモスも今回の目標でもあったからね」
サクラはそう言って爆炎術式を解除し、火属性をエンチャントした汎用弾でグレートモスを打ち落としていく。
――数十分後、グレートモスの群は撃ち落とされ白きゅんに回収されていた。そして、遺跡に入り狩人達に声をかける。
「もう大丈夫ですよ。グレートモスは粗方倒しました……って、何で解毒してないのー!?」
そこには、毒で倒れた狩人が苦しそうにもがいていた。そして、仲間の魔導士は言う。
「今朝の古龍騒ぎで解毒薬が無くしたみたいで。そしてボク、キュアが使えないんです」
「はいー? グレートモス狩に来て解毒薬も無しキュアが使えないって自殺しに来たの!? ――白きゅん解毒薬出して」
やれやれの感じで、解毒薬を魔導士に手渡した。魔導士は感謝を言い、直ぐに解毒を行う。
そして、剣闘士の元気な方が話し掛けてくる。
「あのーもしかして、貴女はリャナンシーさんですよね?」
サクラは少し考え、ポンと手を打ち答えた。
「リャナンシー? ……あ~私のネームドか! そんな名前も有ったね~! 私はサクラ、ん~その名前で呼ぶってことはリレイ・コロニーの人ではないよね?」
「紹介が遅くなりました。私は東のコロニーで狩人をしてます、クリフです。パーティーのリーダーをしています。そして、魔導士のエイミーとデールです。この度は助けていただき、ありがとうございます」
「とりあえず、歯を食いしばって!」
「はい?」
サクラはクリフに近付き顔面を殴る。そして、クリフは豪快に吹っ飛ぶ。
「あんたねパーティーを全滅させる気!? リーダーなら戦闘前に、装備の確認と戦術確認してから挑みなさい!」
エイミーが慌てて近付く。どうやらクリフはのびでいるようだ。そしてエイミーはクリフを介抱しながら答える。
「クリフ君は悪くないんです。ボクが解毒薬を無くした際、中止の判断をしたのですがデール君が強引に狩に出てしまって……」
「成る程ね、デールが独断専行して、それに引き摺られて、あの状態になったのね」
「はい……最初はよかったんですが、次第に……」
エイミーの話を聞きながらサクラ思う。
(エイミーの顔にモザイクと声を変えたら、何処かの、お昼のテレビ番組の人生相談に見えなくもないかも……テレビ番組って何だっけ?)
無論、この世界にはテレビなどは無い。
「風向きが前回来たときと変わっていて、気付いた時はデール君が毒にやられグレートモスに囲まれて……」
「そこに私が助けに入ってきたってことね。ま、風向きは古龍が近くを通ったせいで木々、廃墟、廃墟の残骸で風の通り道が変わったからだね。それでもリーダーの責任だよね」
話をしているとクリフが目を覚ます。
「うぅ、う、イテー」
「ん?目覚めたようね」
クリフはサクラの声を聞いてビックなる。
「ヒィ! はい」
「それでは今回の救助料だけど、タダとはいかないから、こっちも慈善事業じゃないし」
クリフ、エイミーが正座する。そしてクリフが答える。
「わかっております。ただ自分達は駆け出しで、貯えが……」
「駆け出しも何も、この稼業の人は大半は貯えがが無いの知ってる。別に吹っ掛けないから大丈夫、ん~弾丸代と解毒薬を合わせて7000ボドルが妥当かな」
「え!? そ、その金額で良いんですか!?」
サクラは、やられてと感じで首を横に降りながら答える。
「良いも悪いも弾丸もそんなに使ってないし、解毒薬は市販の物だから別に高いものじゃないし妥当じゃない?」
「ネームドの方を雇う際の金額は数十万を超えると聞いていたので、かなりの高額になると覚悟はしてたので。それに、こう言った場合は普通の狩人も、かなり吹っ掛けてくると思うので……」
「え?まじで?水増ししても良かったんだ……損した~次からは水増ししよう」
クリフとエイミーは苦笑いする。そして、クリフが真剣な顔になり。
「その金額なら直ぐ払えますので……あ、あのー」
「ん?どうしたの?」
「俺らを弟子にしてください」
クリフが土下座しなが言う。驚くサクラとエイミー。
「は~? 弟子?」
「是非お願いします。自分達は――」
クリフの話を纏めると、最初はベテラン狩人達と組んでいたが、待遇に嫌気が差して、新米達でパーティーを組だのはいいが、あまりうまくいってないとの事で、今回の反省を兼ねて一から修行したいらしい。
「――話はわかったけど、私はパーティーも弟子も取らないから諦めて」
「お願いします!」
「お願いされても困るから、それにパーティーの相談もせずに勝手に決めてどうするの? エイミーちゃんもビックリしてるじゃない」
サクラはエイミーの顔を見るとエイミーは、ハッとして。
「ボクもお、お願いします」
「イヤイヤイヤ、お願いされても困るから、あ!(そうだ、イワンさんに押し付けよう!イワンさん優しいから大丈夫のはず)」
「「?」」
「私は駄目ですが、いい人がいるのでその人を紹介するってのはどうですか?」
「自分はリャナンシー様の弟子になりたいのです!」
サクラは、さんから様に変わった事に苦笑いしながら断る。
「だからね、私は弟子を取らないんだって。それにその人、剣闘士だから細かい剣のアドバイスも貰えるよ」
「「リャナンシー様の弟子で、お願いします」」
数十分平均線をたどりる。そこでサクラが提案する。
「まずは会ってみようよ、断るのはその後でもいいと思うんだ? ね?」
クリフは少し考え。
「わかりました、リャナンシー様がそう言うのであれば、会ってみたいと思います」
サクラは安心し言う。
「よかった~、それと私をリャナンシーで呼ばないで!サクラでいいから後、様も要らないから!いい?」
「はい、リャn、サクラさ、さん」
「噛み噛みなんだけど。話は終わった事で、とりあえずデールだっけ?が回復したらリレイ・コロニーに先に向かって」
「サクラさm、さんは一緒に向かわないんですか?」
「私、元々この遺跡に探窟の予定だったから数日
、探窟して帰るよ。白きゅん、これしまって、それと撃滅鎚とエアライフルちょうだい」
サクラは、サブマシンガンとハンドガン二挺の内一挺をしまい、ピッケルとエアライフルを出す。
クリフは透かさず言う。
「なら、探窟には護衛が必要かと」
「イヤ、要らないから! それにデールを置いて行けないし連れていくにも邪魔だから」
バッサリとクリフの意見を切り、ピッケルを肩に掛け遺跡奥に消えていく。