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インビジブル転生記 〜透明人間になっちゃった?!〜  作者: まある・甲斐手・智四
1章〜ウド村にて〜
6/10

6話

 


 ビッグベアーを殺した冒険者らしき2人の後をつけていると、村の門らしきオブジェクトが見えてきた。此処がアイちゃんが言っていたウド村なのか?まだ確証が持てないのが辛いが、なんにせよ情報が必要だ。門の前で冒険者の2人が立ち止まる。一体どうしたんだ?


「おーい!!俺だー!冒険者のウィルだ!!誰か居ないかー!!」


 すると門の上にある櫓から、ひょこっと男が姿を現した。


「おー!ウィル!!どうしたんだ!血相変えて!何かあったのか!!」


「ああ!この近くにビッグベアーが出てきた!!至急ギルド長に繋いでくれ!それと怪我人もいる!回復魔法使える者を頼む!!」


「わ、わかった!!おーい!!お前ら!!何をしてる早く門を開けろ!!」


 櫓の男が一声を上げると、周辺が慌ただしくなってきた。そして門が開かれる。怪我をしているサンバと呼ばれていた男に、フードを被った女性が近づき、怪我をしている足に手をかざしている。何をしているのだろうか……?


「いてて、おお、セリアか。早い所治してくれ。これじゃあ母ちゃんに怒られるよ。」


「お口は閉じて集中して。治る意思が無いと回復魔法の効き目が薄くなるのよ。わかってる?」


 セリアと呼ばれた女性の手から、青白い光が浮かび上がった。もしやアレが魔法なのか……?そう思っていると、足の傷がみるみると塞がっていき、傷跡さえ残らなくなった。どうやら回復魔法が効いて完治したみたいだ。


「おーいウィル!ギルド長が呼んでるぞ!!早くこい!!」


 先程の櫓にいた男が、汗をかきながらウィルに促す。


「わかった!!直ぐ向かう!!サンバ、少し休んでこいよ。ギルド長の報告は俺に任せてくれ。」


「おお、そうしてくれや。それとこれも持っていけ。ビッグベアーの鼻に突き刺さった俺のナイフだ。」


 腰からナイフを抜き出し、ウィルはそれを懐に入れ歩き出す。どうしようか、このままウィルについて行こう。ギルド長がどんな奴か見てみたいしな。何か情報を得られるかもしれない。

 そしてウィルと共に村の中へ入る。どうやらこの村がアイちゃん言っていたウド村で間違いなさそうだ。見慣れない文字ばかりだが、道行く人の会話を聞いている限りでは、確かな情報だった。それにしても文字は読めないけど、言葉は通じるんだな。これもモンスターに転生したおかげなのか?今の所確かめようが無いから、あまり深く考えない様にしておこう。


 そうこうしている内に、周りの建造物より一回り大きな建物に辿り着いた。恐らく此処がギルド長がいる所なのだろう。扉が開かれると、広い空間があり、その中には酒を飲む人。掲示板を眺めている人々様々だった。そして中央に円形状のカウンターが並んでいる。ウィルがカウンターの前に歩き、受付嬢らしき人と何か話している。受付嬢が席を立った後、奥の部屋に入り、直ぐ戻ってきた。どうやらギルド長が奥の部屋に居て、面会する所だろう。よし俺も行こう。


 奥部屋に通されると1人の男がソファーに腰掛けていた。


「おーウィル。待っていたよ。この度はお疲れ様だな。」


 男がそう言うとソファーから腰を上げて、ウィルに近づいてくる。で、デケー……!人間でこんな身長が高い奴初めてみたぞ。2mは軽く超えているな。色黒の肌にスキンヘッド、顎には髭を蓄えさせている。そして筋肉隆々のマッチョメン。キレてますね…!これは子供が見たらギャン泣き間違いないな。


「ええ、アンダーソンさん。言伝の通りビッグベアーが現れました。見立てだとBクラスで間違いないでしょう……!」


「詳しく聞かせてくれ。座りなさい。」


 2人はソファーに座る。俺は座る訳にいかないから立ってるけど。どうやらギルド長の名前はアンダーソンみたいだ。


「はい、サンバとゴブリン討伐クエストを受けていた時に、森の奥から突然ビッグベアーが現れたのです。周りの木々を薙ぎ倒し、私達に攻撃を仕掛けてきました。私達も反撃はしたのですが、傷1つも付ける事も出来ず、負傷したサンバを背負い逃げたのです。しかし道半ばで倒れ、ビッグベアーの雄叫びにより、私の意識が無くなりました。……。不甲斐ないばかりです。冒険者である私がモンスターを目の前で気絶をするなんて……。」


「いや、お前達はよく頑張った。確かお前達のランクはDだったよな。よく生きて帰ってきてくれた。命あるだけ重畳よ。」


「ありがとうございます……。」


 目を落とし落ち込むウィルをフォローするギルド長。いい奴の様だな。俺も泣けてきた。


「その後の事は何も知りません……。起きたらビッグベアーが倒れていて、急所である鼻にこのナイフが突き刺さっていたのです。これはサンバの武器なのですが、戦っている時には傷1つつけれなかった。しかしあの分厚い皮膚を物ともしないナイフが、柄の部分まで刺さっていた……。サンボにも聞いたのですが、彼は一切覚えてない様で、もしかしたら……。」


「もしかしたら第三者が来てくれた……と?」


「はい、そう考えざる負えません。だけどもその者は周りにはおりませんでした……。ビックベアーは殺していて森に放置しています。」


「なるほど……。あいわかった。この案件は一先ず預かる。ビックベアーの確認が取れ次第、お前達には褒賞を与える。」


「え、しかし……。」


「倒したのは俺達じゃない。って言うんだろ?それは気にするな。そもそもビックベアーはこの周辺には生息していない種族だ。恐らくビックベアーは1頭では無い筈だ。食料を求めて此方に流れてきたのだろう。この知らせを聞く聞かないでは、対策のしようがないからな。情報をくれただけでも大変助かる。村の者は怖がると思うが、なんとかして見せよう。」


「わかりました……!ありがとうございます!ギルド長!」


「よし、それじゃ褒賞はまた後日渡すとする。今日の所は帰って休め。以上だ。」


 ウィルは立ち上がり一礼を済ますと部屋から出ていく。俺もついて行こうとするが、


「待て。」


 突然ギルド長に呼び止められた。自分の事だろうと思うウィルは振り向きギルド長の言葉を待つ。バレたのか…?!


「……………いや、何でもない。すまなかった。」


 ふぅ〜危ない危ない。部屋を退出して受付の方まで戻ってくる。ウィルは早々にギルドから出て行き姿が見えなくなった。ギルドに残された俺は少し考え、もう少し情報が欲しいな。何か当てになるものは……。と俺はギルド内を彷徨く事になった。






 ウィルが部屋から出て行き、扉が閉まるのを確認すると、アンダーソンは独り言を呟く。


「さっきの気配は何だ……?ウィルの近くから人の気配を一瞬感じ取ったが、何もなかった。どうなっている……。いや、それよりもビックベアーだな。なぜこの地に奴らが出てくるのだ……。そしてあのナイフもただのスチールナイフだ。業物のナイフでも奴らの鼻に突き刺すのにも、一苦労するというが……。これは調査が必要だな。」




 アンダーソンは静かにソファーに座り、此度の件について考え出す。






次回から、人との意思疎通の方法。加護の力について明確にしようかと思います。

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