サキの楽しい計画
翌日、サキはM-Aと食料の買い出しに出た。
サナに任せるとまた最低限しか買わないだろうから、これでもかというくらい両手に食べ物を抱えた。
「家にあったら食べるだろ。腐らせるようなことはしないだろうし」
サキは追加で果物をまだ選んでいる。
「しかしサナも相変わらずやな…。ちっとはましになっとるんかと思ったらなんも変わらん。あれ意外と頑固者やで」
M-Aはオレンジを三つ追加した。
「なんだよ。レイビーにいた頃からサナは秘密主義者なのか?」
バナナを入れながらサキは眉を寄せた。
「まぁ、せやな。絶対弱音はきよれへんから。それよりサキ、情報屋雇うて本気か?」
会計を済ませると重い果物を全てM-Aの腕に乗せる。
「あぁ、まーな。一般市街のことは俺らじゃ調べるのに限界がある。明後日の午後に落ち合うんだが、お前もくるだろ」
「決定事項かい。ってか重っ!!この荷物重いぞサキ!!」
二人して両手にもりもりと荷物を抱えて帰ると、サナは驚いて目をしばたかせた。
「おかえ、り…。それ、全部食べ物!?」
サキはいたずらっぽく笑うとどさりと荷物を降ろした。
「サナ、ちゃんと料理に変えてくれよ?しばらく俺ここで夜は食べるから。それと、一週間後の夜はここでパーティーをする!」
「ぱ…パーティー…」
耳慣れない言葉にサナが呆然と繰り返す。
M-Aはぽんと手を叩くとコーシを手招きした。
コーシがそばに寄ると思い切り高く持ち上げる。
「そーか、お前来週で二歳か!」
「そーだよ!!正確には分からんからとにかく俺が拾った日がこいつの誕生日だ!」
コーシはされるがままに高い高いを受けていたが、どことなしか嬉しそうだ。
サナはやっと理解すると頬を上気させて頷いた。
「そっか。コーちゃんの誕生日パーティーだね!分かった!沢山美味しいもの用意するね!」
こんなに嬉しそうなサナは滅多に見ない。
サキは果物を取り出すとサナに手渡した。
「サナもその日は沢山食べてもらうからな。この一週間でちゃんと胃袋大きくしとけよ」
サナはサキが自分の為にもコーシのパーティーをわざわざすると言い出したのだと気付いた。
柔らかく微笑むと何度も頷く。
「うん…うん。ありがとう、サキ。M-Aさん」
コーシがサナのそばに寄ると足に絡みつく。
サナはふわりと抱きしめるとおでことおでこをこつんとつけた。
「コーちゃんも、心配してくれてありがとうね。誕生日パーティー、楽しみだね」
サナが嬉しそうなので、コーシも珍しく微笑んだ。
サキは心臓を撃ち抜かれているM-Aを引きずりながら玄関口に向かった。
「じゃあ俺らこれからまだ用事あるから出るわ。サナ、コーをよろしく」
サナはしっかり頷いた。
「行ってらっしゃい。美味しいもの用意して待ってるね」
サキはサナの笑顔に満足して家を出て行った。
「さて、コーちゃんなにして遊ぼうか?また機械いじりがいい?それともお外に散歩に出る?」
コーシは少し考えるとサキの部屋に潜り込んだ。
「やっぱり機械いじりか。コーちゃんはエンジニアさんになるのかな?」
幸せそうに微笑むと、サナは家事をする為にエプロンを締めた。