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trick and treat

作者: 八月一日
掲載日:2010/10/31

trick and treat


「お姉ちゃん、お菓子ください」


「……何改まってんの?」


 部屋でweb小説を読んでいたらノックもなしに入ってきた妹の千亜ちあ。その千亜は、部屋に入ってくるやいなや、菓子を要求してきた。


「いや、だからお菓子」


「なんで?」


「ハロウィンだよ? カボチャだよ? 仮装してtrick and treatだよ?」


「あー、今日ってハロウィンだっけ」


 PC画面の隅にある日付と時刻をみれば、10月31日。ハロウィンとは、まあ、千亜が好きそうな行事。


「たかられてもなんもないわよ」


「……いたずらするよ?」


「具体的には?」


「お姉ちゃんに付きまとったり、べたべたしたり、お風呂突入したり」


「おお、それはかなり迷惑」


 というかそれはいたずら? いつもやってるでしょ。


「ということで、trick and treat」


「いや、だからなんもないって」


 買いにでも行かないと。というか菓子自体、ストックがでるほど買わないから常備してない。


「ハロウィン~」


 今度はしがみついて前後左右にゆすりだした。


「ああっ、もう、わかったわよ」


 家に菓子はない。ということは必然的に買いに行くしかなくなる。滅多なことがない限り休日は、外にでたくないのに。

 椅子から離れて外着にきがえるべく、クローゼットに向かうと、千亜は一人楽しそうに部屋から出て行った。まあ、ついてくるつもりで着替えに行ったんだろうけど。

厚手のジーンズに、セーター、ジャケット、とにかく防寒しか意識してない格好。


「お姉ちゃん……温かそうだね」


「この寒い中出歩くんだから上等でしょ」


 なんか不満がありそうな千亜を連れて家を出る。ここから近くのデパートまで歩くのが、面倒。やっぱ休日は外に出ないに限る。


「もう、お姉ちゃん歩くの遅い」


「財布渡すから一人で買ってくれば?」


「それじゃ意味がないのー」


 ハロウィンなんて面倒な行事、誰が考案したのよ。人さまに菓子たかるような劣悪な行事を。


「お姉ちゃん早くー」


「急いだって無駄に疲れるでしょうが」


***  ***

 デパートにつくやいなや、千亜は食品売り場の菓子コーナーに突っ走って行った。あれで今年16なのが不思議。というか精神年齢の問題か。きっと6歳だと思う。

 ゆっくり歩いて千亜のもとの行けば、カゴの中になにやら『大量』に菓子を詰め込んでいるのを発見。ざっと見ただけでも1000円分弱ある。


「千亜、買いすぎって言葉知らない?」


「だってハロウィンだよ?」


 何気なしに周りを見てみたら、ハロウィンフェアと書かれた広告。

 菓子詰めセットやなんやらと、集客を狙った店の陰謀が見え隠れしてる。


「で、まだ買う気」


「うん」


 すでにカゴの容積を軽く超えかけてる。ねえ、限度って単語知ってる? さっき聞いたっけ。でもねえ、1000円超えてるでしょ、これ。ハロウィンにこんな出費するとは思わなかったんだけど。


「このくらいかな」


 千亜の持ったカゴは隅から隅まで菓子が詰めてあった。財布の体重を抉りとるつもりだろうか。


「レジ~」


「……」


 会計の時に出ていく金額がえらく気になった。


「――1452円です」


 千亜、買いすぎ。


「~♪」


 一人上機嫌な千亜は、菓子の入った袋を手に鼻歌を歌いながら帰路を歩いてる。かという私は、買おうと思ってのけてた金銭が飛んで、小説が買えなくなっている。ハロウィンなんてなくなってしまえ。


「あとで一緒に食べようねー」


 来年は何かしら常備しておこうという、教訓を思い知らされた。





**** *** ****


「ん~あまーい」


 テーブルの上には買ってきた菓子。千亜はそのうちの一つのチョコ菓子を食べてる。私は、ホワイトチョコ。


「あま」


ハロウィンです。

それは人様の家を訪ねて菓子を強要する行事(嘘)


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