WITHOUT
掲載日:2026/03/17
こういう形式の自由詩も好き。
翼なき背中と 背中なき翼が
行き場をみつけられずに彷徨い
視線なき瞳と 瞳なき視線に
晒されながら怯えて暮らす
言葉なき想いと 想いなき言葉の
こすれ合いにすり減らしては
契りなき誓いと 誓いなき契りを
拠り所にして生きる
学びなき痛みと 痛みなき学びから
なんら糧を得ることもなく
薬なき病と 病なき薬が
蔓延るのを嘆いた
戒めなき鎖と 鎖なき戒めは
力が籠りもせず垂れ下がり
刃なき剣と 剣なき刃も
振るわれることもなく打ち棄てられるうち
時計なき時間と 時間なき時計の
囚人となって
格子なき牢獄と 牢獄なき格子を
棲み処とするくらいなら
指標なき軌道と 軌道なき指標でも
歩み出せるはずと
諭しなき悟りと 悟りなき諭しへは
耳を貸すのをやめたけれど
光なき太陽と 太陽なき光のもと
たどり着くさきは
渇きなき砂漠と 砂漠なき渇きが
せいぜいさ
鍵穴なき扉と 扉なき鍵穴でさえ
ひらくことがあろうとも
誉れなき勝利と 勝利なき誉れのどちらも
きみを満たしてはくれまい




