テスト中……
三題噺もどき―はっぴゃくにじゅうに。
ほんの少しだけ緊張したような空気の中に、紙のめくる音と芯のこすれる音が聞こえる。
時計の針が動く音が時折聞こえたと思えば、誰かがシャーペンの頭を一度押す。
教壇の方を見てみれば、暇そうに教師が予備のテスト用紙を眺めたり、腕時計を確認したりしている。
「……」
テストの時間というのは、永遠に感じるのは私だけだろうか。
しかも、特に苦手にもしていない国語のテストだと特にそう感じる。
今回は範囲が冬休みの宿題内というのもあって、あまり難しく設定されていないようだ。
時間もそれなりに経ってはいるが、まだまだ終了までは数十分は余っている。
「……」
まぁ、ようは、テストが早く解き終わって、なんとか時間をつぶしてみようと見直しをしたりしてみたけれど、それでも時間が余って、暇、という事だ。
こうなると、眠くなるのが、人間の性なのだろう。
何をしても、舟をこぎそうになる。
「……」
窓の外は風が荒れ狂っているのか、桜の咲くはずの木が横になびいている。
可哀想に、もういい加減蕾もつけている頃だろうに、今年はいつ咲くのだろう。
ここら辺は、3月に咲くので、入学というよりは卒業のイメージがある桜だ。
近くの山の上にある公園は、そこにたどり着くまでの道中に桜並木があり、これまたいい観光スポットになっている。
「……」
ガタガタと、たまに揺れる窓枠に意識を引き戻されながら、なんとか寝まいと抗ってみる。
室内は、暖房により、ぬるい空気が漂っているので、眠気に拍車をかけている。
このまま空気と同化してしまえないかと、意味の分からないことを思ってしまう。
「……、」
漏れそうになるあくびを噛み殺しながら、適当に手でも動かしておこうと、シャーペンを握りなおす。
何もしない状態が続くと―眠気が襲ってくると言うのもあるが―どうにもネガティブ思考に走る癖があるのもよろしくない。このクラスになってから酷くなっているから、尚の事。これに関してはクラス替えを担当した教師が悪い。
……あまり堂々と言う事でもないが、常に下に履いている半ズボンのポケットの中にカッターを忍ばせている学生が、果たして何をしているのか。
「……」
そんなことは今どうでもいい。
今考える事でもあるまい。
昔のことを今思いだしてなにになるんだ。
「……」
シャーペンを何とはなしに動かして、適当に落書きでもしていよう。
解答用紙に書くわけにはいかないので、問題用紙の隙間にちまちまと落書きをする。
さしてうまいわけでもないが、描くことは好きではある。
「……」
適当にシャーペンを走らせて、何も考えずに。
猫を描いてみたり、ウサギを描いてみたり。
はたまた、最近はまっているアニメのキャラを描いてみたり。
大抵は、あの子に教えてもらったものだ。私がアニメを好きになったのは、あの子が教えてくれたからだ。それまでもアニメは見ていたけれど、見るだけで終わっていたからな。楽しみ方を色々教えてくれたのは、あの子だった。
「……」
ちらりと、時計を見ると、もうそろそろ終了の時間だった。
回りも解き終わっているのか、気づけば寝ている奴や、解答用紙と問題用紙を見比べながら見直しをしている奴がいる。
まぁ、何人かは解き終わっていないのかにらめっこをしているが……彼らはいわゆる先生方のお気に入り枠だから、仕方ない……のかもしれない。
「……」
まぁ一応。
私ももう一通り、見直しをしておこう。
これで凡ミスが一番もったいないからな……名前書き忘れとか洒落にならない。
回答欄のズレとか、頭を抱えそうになるからな。
別段、家の親はそういうのに口を出すことはしないが、私が得意な教科は知っているので、これで落とすとそれはそれで何かしら刺してくるのだ。面倒なものだな。
「……」
これが終われば、今日のテストは終わりだ。
明日は休みだから、今日はどうするだろう。
いつも通り、あの子の教室に行ってみるか。
「……」
出来れば、今日も。
2人でならんで、コンビニに行って、昼食を買いに行って。
それから勉強をして、たまに休憩を取って。
また2人で帰路につくことができれば。
いいんだけどな。
お題:同化・ネガティブ・猫




