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三題噺もどき5

テスト中……

作者: 狐彪
掲載日:2026/02/10

三題噺もどき―はっぴゃくにじゅうに。

 




 ほんの少しだけ緊張したような空気の中に、紙のめくる音と芯のこすれる音が聞こえる。

 時計の針が動く音が時折聞こえたと思えば、誰かがシャーペンの頭を一度押す。

 教壇の方を見てみれば、暇そうに教師が予備のテスト用紙を眺めたり、腕時計を確認したりしている。

「……」

 テストの時間というのは、永遠に感じるのは私だけだろうか。

 しかも、特に苦手にもしていない国語のテストだと特にそう感じる。

 今回は範囲が冬休みの宿題内というのもあって、あまり難しく設定されていないようだ。

 時間もそれなりに経ってはいるが、まだまだ終了までは数十分は余っている。

「……」

 まぁ、ようは、テストが早く解き終わって、なんとか時間をつぶしてみようと見直しをしたりしてみたけれど、それでも時間が余って、暇、という事だ。

 こうなると、眠くなるのが、人間の性なのだろう。

 何をしても、舟をこぎそうになる。

「……」

 窓の外は風が荒れ狂っているのか、桜の咲くはずの木が横になびいている。

 可哀想に、もういい加減蕾もつけている頃だろうに、今年はいつ咲くのだろう。

 ここら辺は、3月に咲くので、入学というよりは卒業のイメージがある桜だ。

 近くの山の上にある公園は、そこにたどり着くまでの道中に桜並木があり、これまたいい観光スポットになっている。

「……」

 ガタガタと、たまに揺れる窓枠に意識を引き戻されながら、なんとか寝まいと抗ってみる。

 室内は、暖房により、ぬるい空気が漂っているので、眠気に拍車をかけている。

 このまま空気と同化してしまえないかと、意味の分からないことを思ってしまう。

「……、」

 漏れそうになるあくびを噛み殺しながら、適当に手でも動かしておこうと、シャーペンを握りなおす。

 何もしない状態が続くと―眠気が襲ってくると言うのもあるが―どうにもネガティブ思考に走る癖があるのもよろしくない。このクラスになってから酷くなっているから、尚の事。これに関してはクラス替えを担当した教師が悪い。

 ……あまり堂々と言う事でもないが、常に下に履いている半ズボンのポケットの中にカッターを忍ばせている学生が、果たして何をしているのか。

「……」

 そんなことは今どうでもいい。

 今考える事でもあるまい。

 昔のことを今思いだしてなにになるんだ。

「……」

 シャーペンを何とはなしに動かして、適当に落書きでもしていよう。

 解答用紙に書くわけにはいかないので、問題用紙の隙間にちまちまと落書きをする。

 さしてうまいわけでもないが、描くことは好きではある。

「……」

 適当にシャーペンを走らせて、何も考えずに。

 猫を描いてみたり、ウサギを描いてみたり。

 はたまた、最近はまっているアニメのキャラを描いてみたり。

 大抵は、あの子に教えてもらったものだ。私がアニメを好きになったのは、あの子が教えてくれたからだ。それまでもアニメは見ていたけれど、見るだけで終わっていたからな。楽しみ方を色々教えてくれたのは、あの子だった。

「……」

 ちらりと、時計を見ると、もうそろそろ終了の時間だった。

 回りも解き終わっているのか、気づけば寝ている奴や、解答用紙と問題用紙を見比べながら見直しをしている奴がいる。

 まぁ、何人かは解き終わっていないのかにらめっこをしているが……彼らはいわゆる先生方のお気に入り枠だから、仕方ない……のかもしれない。

「……」

 まぁ一応。

 私ももう一通り、見直しをしておこう。

 これで凡ミスが一番もったいないからな……名前書き忘れとか洒落にならない。

 回答欄のズレとか、頭を抱えそうになるからな。

 別段、家の親はそういうのに口を出すことはしないが、私が得意な教科は知っているので、これで落とすとそれはそれで何かしら刺してくるのだ。面倒なものだな。

「……」

 これが終われば、今日のテストは終わりだ。

 明日は休みだから、今日はどうするだろう。

 いつも通り、あの子の教室に行ってみるか。

「……」

 出来れば、今日も。

 2人でならんで、コンビニに行って、昼食を買いに行って。

 それから勉強をして、たまに休憩を取って。

 また2人で帰路につくことができれば。

 いいんだけどな。











 お題:同化・ネガティブ・猫

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