ずっと観てきたんだもの
あれから1年。
フェイタル・ガーデンのメンバーは今はバラバラになって活動している。
クルスはエマのお父さん、閻魔大王にスカウトされて獄卒になった。
アカリとアマーラの為に地獄への移住を決めたみたいだ。
レンレンは、精霊王になった。1年前、月の女神がやって来て、本気説教をされた。レンレンは罰を与えられ、それが千年間の聖霊王無料奉仕だった。要はじっとしとけだそうだ。ああ、カエルはクビになった。
マリンはもちろんズッ友について行った。
キアラとノッテは本業の光マナネット商会とダークフォン商会が忙しいらしく、今はそちらに掛かりきりだ。
マミは、ロザリーとの時空旅行から、戻ってない。
ヤスオとミレイは孤児院の運営を始めた。元々、奴隷商会を潰した時に保護した孤児の面倒をヤスオがみていたんだが、元聖女のミレイが混ざったことで本格的に孤児院を運営している。
ユータは誰かに酒を飲まされ、裸踊りをした。アステリアマークZの前で。猥褻罪で現在、拘留中だ。
だが、今日は久しぶりにフェイタル・ガーデンのメンバーが全員集まる。
アマーラのお誕生日会にお呼ばれしているからだ。俺にとっては、4回目の地獄だ。
先に着いた俺とエマは地獄の公園で時間を潰していた。
「ねえ、コーセー。ポイントは今どのくらいかしら?」
エマに聞かれ徳ポイントを確認する。現在、28ptだ。増えては減ってを繰り返している。なぜか俺にはトラブルが多いんだよ。
「……まあ、それなりにたまったよ。28ptも」
「100万ポイントは、まだまだね……もし、貯まったらどうするの?」
「…どうするって?」
「私との結婚か、元の世界の10分間かどっちを先にするの?」
あー、それは考えていなかったな。でも……
「先に10分かな。またエマの所に戻って来れるんだろ?」
「ええ、ここに戻って来るわ」
「なら決まりだな。戻って、親に伝えて、スッキリしたらエマに告白するよ」
エマが潤んだ瞳で嬉しそうに俺を見つめて言った。
「そうすると思ったわ。あなたを、ずっと観てきたんだもの。待ってるわね」
「まずは100万ポイント貯めないと行けないけどな」
エマが「それもそうね」と笑い、俺もつられて笑った。
その後もひとしきり話した俺たちはお誕生日会に向かったんだが事件が起きていた。
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「アマーラを離せ!!」
「こいつの…こいつのせいで、私は神界を、追放されたんだ。死以上の苦しみを与えて……」
お誕生日会場に着くと変な奴がアマーラにナイフを押し付けていた。クルスが震えるアカリを背に対峙している。
幸い俺たちは扉の影に隠れて見つかっていない。俺が後ろから取り押さえに行こうとすると、エマから念話が入った。
『コーセー、ダメよ!!堕天したみたいだけど、あれは創造神様に近い上級天使のベリアよ。今の私たちで勝てる相手じゃ無いわ』
『なっ、……』
『パパかママが来てくれれば、どうにかなるんだけど……ベリアが、この辺りに結界を張って連絡が取れないわ』
エマも焦ってダークフォンを操作している。それにしてもエマが勝てないと言う相手か。でも、逃げる訳にもいかない。このままじゃアマーラが…………
『エマ、さっきの話守れそうにない。だから後悔しない様に今言うよ。』
『コーセー、急にどうしたのよ!何をするつもり!?』
俺はエマの言葉を無視し、伝える。
『大好きだよ』
俺は蜂の姿に戻った。手を伸ばし俺を捕まえようとするエマを躱し、ベリアに向かって飛んでいった。まさか使う時が来るなんてな。
「一撃絶命ワンプッシュ・デッド!!」
ピコーン!
《善行を確認:自身の魂を代償に他者の生命を救いました。救済措置として、魂の消滅をキャンセルします》
もしかして助かった!?
ピコーン!
《善行を確認:堕天使ベリアの討伐を確認。徳ポイント120万ptを獲得しました》
よし、キタキタキター!!
ピコーン!
《徳ポイント1,000,000pt達成を確認》
《現世への転移、開始します。制限時間:10分》
え!?いきなり戻るの!?ちょっ、まっ―――俺は意識を手放した。




