あいつらも
−−−ロザリー視点−−−
「時空旅行、やっぱ楽しいー」
マミを誘って良かった。研究がだいぶ捗る。モーリスと研究してた頃と比べると雲泥の差だ。
この間、アルフレッドに、あいつらの賞を、取り消せって言ったら、「わしが死んだ後のことだし知らんよ」と言われた。「ああ、でもわしがロザリーにノーベル賞あげる」と、マミと作った折り紙の星を渡された時は、アルフレッドを星にしようとしてしまった。マリーに止められたけど。
「ねー、ロザリーっち。そういえば、出発前にコーセーっちと何話してたの?」
思い出してムカムカしているとマミに話しかけられた。
「あー、コーセーに『死ぬ前に連れて行こうか?』と聞いたんだよ。それが今の目的って言ってたからな」
「コーセーっち、断ったでしょ?」
「『それも有りなのかもな』って言われたよ。これは断られたのか?」
日本人はどうして、分かりにくい表現をするんだ?普通に断れば良いものを。
「コーセーっちらしいね。あーしは好きだな」
不合理だ。
だが、マミの言う通りあいつらしいのかもな。
「マミ!次はネッティー、リーゼ、エイダを迎えにいくぞ」
「うーん、誰か分かんないけど、オー!」
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−−−ヤスオ視点−−−
妹だと思ってたんだがなあ。
何で手を繋いでるんだろうなあ。
「何考えているんですか?早くしないと始まっちゃいますよ!『3千年越しの恋』!」
コーセーとエマに勧められ、俺たちは映画を観に来ていた。
こうなったのは、地獄にクルスとアカリの子供アマーラを皆で見に行った時のことだった。
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「へえ、地獄にも産婦人科ってあるんだな」
俺が独り言のように呟くと、前を歩いていたエマが、振り向いた。
「ヤスオ。地獄にはコンビニもあるし、産婦人科だってあるわ。無いのは葬儀場くらいよ」
え、何?その地獄ギャグ。エマの隣でコーセーがツボってるんだが。
「あっ、ママ」
「あなた達も来たのね。私も今行ってきたとこよ。可愛かったわ」
クルスの結婚式で見たエマのお母さんがやって来た。
そして、俺の隣にいたミレイが「初めまして」と挨拶をしたのだが……
「ああ、あなたがミレイちゃんね。エマから聞いてるわよ。幼なじみと一緒にいたくて魔王になるバカだって。でも素敵ね」
そう言って俺の方を向き、
「……あら?あなた気づいてないふりをしているの?ダメよ。早く言いなさい。夫に言って舌を引っこ抜くわよ」
何言ってくれてんだ、このオバサ……
ゴンッ!!
あぁこの人、心読める系だあ。そう思いながら意識が途切れた。
そして、目を開けるとミレイが俺を覗き込んでいた。膝枕をされているらしい。
「気付いてたなら言いなさいよ」
ミレイが顔を赤くしながら、怒ったように、でも笑顔で言ってくる。
「お前も言えよ。でも、歓迎会でブスって言ったのは謝る。」
「フフフ、バーカ」
「ああ、バカだよ。お前に気づいてることも、自分の気持ちも言えなかったからな」
ミレイが今度は小さくバカと呟いた。
ミレイも俺も顔を真っ赤にして、お互い目を背けた。
目を背けた先では、ヒューヒューと茶化し、エマにゲンコツされるコーセーがいた。バカばっかりだ。
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ミレイが、映画を観ながら泣いている。
あいつらも報われるといいな。




