とっても良い魂ね
「俺の子なのに、なんでこんな簡単なことが出来ないんだ!」
父はいつも怒っていた。
昨日も。
一昨日も。
去年も。
その前も。
ずっと。
最後に見た父の笑顔を覚えていない。
そもそも、笑ったことあるのかな。
もちろん、今日も怒ってた。
自分の中の何かがはじける音がした。
「……もういい。」
そう言って、家出した。母のように。
たどり着いた場所は、本当の天国だった。
皆が、褒めてくれる。称えてくれる。
僕を見てくれる。
そう、天国だったのに……
今いるのは地獄だ。
「判決!堕天した経緯には情状酌量の……………………」
元婚約者のお父さんが僕に判決を下す。
「…………よって、天使の資格を剥奪し、ポルターレの世界に転生することを罰とする。異議は認めない。以上、閉廷」
異界の門が開かれ、閻魔大王が近づいてきて、門に落とされた。
僕が意識を失う直前、
「次は愛してもらえるさ」
そう聞こえた気がした。
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俺は今、3度目の地獄に来ている。
アカリが里帰りして出産したからだ。お祝いに駆けつける為には、地獄に来るしかなかった。そう何度も来たい場所じゃ無いんだけどな。
ただ一つだけ解せない事があった。
「あっ、パパー?オレオレ!アカリとクルスのお祝いに行きたいから迎え来て〜」
『ブチッ!……あーもちろん迎えに行くよー』
そう、閻魔大王に電話したのだ。快く引き受けてくれた。転送ゲートが開き皆が先に転送されて、最後が俺の番だった。なのに、行く手を阻む死神さん。どいてくんない?
「コーセー様は特別な招待をと部長より賜わっております」
「は?」
そういうと、死神のハーベスターが俺を目掛けて振り下ろされた。
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「むくれた顔してたら赤ちゃん泣いちゃうわ」
「キャッ、キャッ」
「そうだよな」
クルスとアカリの生まれたての子を見ていると怒りも収まった。可愛い。
「名前は決めたのか」
「ああ、アマーラ。アマーラだ」
「愛される子って意味っす。クルスと2人でいっぱい愛でるっす」
クルスが名前を、アカリが由来を。
そう答えてくれた。アマーラを見る、二人の優しい笑顔は、何故か妙に懐かしかった。
「あら、とっても良い魂ね」
エマがアマーラを抱っこさせてもらいながら呟いた。
さすが元閻魔様だ。そんなことが分かるって……
俺の魂は、エマにはどう見えているんだろうな。




