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特に無いがな


「国盗り」を宣言した俺たちは、即座に行動を開始した。

拠点の屋敷を捨て、俺たちが向かったのはヤスオの領地内にある「元奴隷の村」だ。

かつて俺たちが救い出し、ヤスオが私財を投じて整備してきたこの村は、今や王国に絶望した者たちの「希望の砦」となっていた。


「おかえりなさい、師匠! それに……コーセー様たちも!」


村の入り口で俺たちを迎えたのは、かつて奴隷商から救い出したマミの兄、トールだった。以前より逞しくなった体つきと、その澄んだ瞳。彼は今、この村の若者たちのリーダー格になっている。


「トール、急で悪いがここが『戦場』になるかも知れん。……王国軍が、攻めて来てもいいように防衛態勢を整えてくれ」


ヤスオの言葉に、トールの表情が引き締まった。


「……分かっています。王国の連中が、僕たちを『勇者召喚の生贄』にしようとしていたことも、エマ様の蜂さんから聞きました。……戦わせてください。僕たちはもう、ただ震えて待つだけの奴隷じゃない」


彼の言葉に、周囲の村人たちも力強く頷く。


「よし。だが、俺たちは魔王扱いだ。俺たちが直接軍を率いると、ただの侵略戦争に見えちまう。……トール。お前が革命の旗頭になれ」


「え……僕が、ですか?」


俺はトールの肩に手を置いた。


「俺たちがサポートする。お前は、この腐った王国を内側から作り直す『正義』の象徴になるんだ。」



村の集会所で、トールを革命の旗頭にした、作戦会議が始まった。ギルド支部長をしていた、ユータが司会進行を買って出て、それぞれの役割を確認する。


「マミさんは薬の完成を急いで下さい。正直、あの勇者達の力はフェイタル・ガーデンのメンバーには、大した事ありませんが、この村をはじめ無関係の国民に牙を剥く可能性があります。力を奪うのが得策です」


「りょーかーい! ロザリーっちに、手伝ってもらうねー!ちょっと、あーし時空間通話してくるから、会議すすめといて〜ここ電波悪いんだよねー」


そういってマミは村で一番高い櫓に向かって行った。え?ダークフォンも電波的なやつなの?


「キアラさん、ノッテさん。あなた達が、光マナネット商会とダークフォン商会の会長ですよね?王国関係者の通信を遮断することはできますか?」


「「余裕よ」」


キアラとノッテが不敵に笑う。


「頼もしいですね。あとは、革命が正当なものである事を証明する為に、これまで集めた証拠等含めて王国民、世界に向けて動画配信して下さい。ただし聖教国関連はまだダメです」


「「分かったわ。戦闘もライブ配信するわ」」


王国の中枢は情報が遮断され、世界には一方的に、相手を非難する情報を流す……もうサイバーテロやん。うーん。異世界の戦いってこんな感じだっけ?


「次にレンレンさんですが、天空国家スカイにもう一度行っていただけますか?」


「あらん?どうしてかしらん?」


「天空国家スカイの協力を取り付けて欲しいのです。帰りは少しでも援軍を率いて戻ってきてください」


「分かったわあん」


「私も行くわ!」


「駄目です。マリンさんは海底国家ショーナンです。レンレンさんと同じです」


ユータはそういうとポケットから小瓶を出した。


「ああ、拒否はダメですよ?これはマミさんに作ってもらった、人化や擬態の強制解除薬です。卑屈の精霊を炙り出すために作ったのを少し分けてもらいました」


「くっ、卑怯よ。そんなの断れないじゃない」


流石、元ギルド支部長。人の扱いがうまいわあ。


「後は…出来ればクルスさんにも参加して頂きたいところですが…」


「あー私がメッセージをアカリに送ったから飛んで帰ってくるわ」


さすがエマ。有能だなあ。出会ったころのポンコツはどこに行ったんだ?


「ユータ、俺はどうする?」


「ヤスオあなたは、協力を得られそうな冒険者を勧誘して来てください。リストを一応作ってありますので」


「ああ、良いんだが、ギルド支部長だったユータのほうがスムーズに行くんじゃないか?」


確かに俺もそう思うわ。と考えているとユータが


「そうしたいんですが、私はこれから聖武具の大量生産に入りたいんですよ。革命軍全員が聖武具持ってたら面白くないですか?ただ1人はさすがに厳しいのでドワーフの里に応援を頼んでいますがね」


ああ、全員が聖剣持ちとか卑怯だろうなあ。


「エマさんは蜂を使った情報収集をお願いします」


「分かったわ」


「俺は何をすればいい?」


「はい?………あ、コーセーさんは、何かあれです。はい。あー、トールさんのサポートお願いします」


ユータが今考えたであろう役割を俺に告げる。うん。俺のこと絶対忘れてたな。ユータ、俺泣くぞ!?


「時間の猶予は2週間くらいでしょう。それまで各々行動をお願いします」


ヤスオがトールに大将らしくビシッと締めろと促している。


「――全員、準備にかかれ! 俺たちが、この国の闇を終わらせるんだ!」


村人たちの咆哮が響く。

ただの「小蝿」だと思って舐めているアグロニアの王、そして裏で糸を引く卑屈の精霊グラウ。

……お前たちが作った「魔王」という虚像が、本物の「革命」に変貌する瞬間を、特等席で見せてやるよ。

俺がする事は今は特に無いがな。


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