ドラっちゃった
「ハッハッハ」
俺は思わず変な笑いがでた。ていうかさ、刻の神殿を前に言う事じゃ無いんだけどさ。俺は過去の自分をぶん殴りたい。普通って何?え、何で神殿の前にデロリ◯ン駐車してんの?
「ここが、刻の神殿ね」
「「ええ、お姉様、2人を呼んできますわ」」
デロリ◯ンを知らないからスルーした?エマにキアラとノッテ。マミは、「何これ〜カッコいいー!」とベタベタ触っている。何なら今「ボキッ」って音したぞ。横を見れば寝ているアカリをおんぶしているクルス。マリンはよし、何もしていないな。そして……何故かドラゴンに戻っているレンレン。デカい。いや、今更だけど、ドラゴン姿のレンレン初めてみたわ。ピンクのカチューシャしてるドラゴンって何なんだよ!え?まだ過去と未来の精霊に会ってもいないのに何このカオス!?ツッコミは俺しかいない。頑張れ俺。頑張れ元ニート。自分を励まし、皆に声をかける。
「はーい、全員集合!!」
皆が一斉に振り向き俺の方に集まってきた。俺は順番に声をかけていく。
「エマ、キアラにノッテも。その乗り物何か知ってる?」
「知らないわ」
「だよな、ちょっと問題があるから、まだ2人の精霊呼ぶのは待ってくれ」
3人は素直に頷いてくれた。
「次マミ!人のものを勝手に触らない、壊さない」
「あ、あーし壊してないしー壊れてたし?」
うん、バレバレだ。だが一旦スルーする。
「クルス、何故アカリをおんぶしてるんだ?」
「眠いからと頼まれた」
「よし、落とせ!」
アカリが「イッター」と叫んでいるが無視だ。
「さて、次が一番の問題児、レンレンだ。なぜドラゴンに?というかデカすぎて会話しづらいから人化してくれ!」
ドラゴン姿のレンレンに叫びながら話しかけるとレンレンは人の姿に戻って話しだした。
「ほら〜、コーセーキュン。私って種族はエンシェントドラゴンだけど〜元々精霊じゃない?だから久々の故郷に来たら〜テンションあがっちゃって〜ドラッちゃったわぁん」
………初耳ですが?
「それでレンレン、精霊だったってどういうこと?」
「私、こう見えても破壊を司る大精霊だったのよん。ねえ、キアラ、ノッテ?」
レンレンに振られた双子は、なんとも言えない顔で頷いた。
「「……ええ。当時は三悪精霊の一角として君臨しており、精霊界の問題児筆頭でしたわ。あまりの暴虐ぶりに、精霊王に精霊界を追い出された馬鹿ですが……」」
「あの頃はまだ、私の中の魔法少女が目覚めてなかったのよねぇん。反抗期だったのよん」
今も、目覚めてねーじゃねーか!お前の攻撃全部物理だからな!!俺は心の中でツッコミを入れた。
「えー、レンレンっち今も目覚めてないじゃん?攻撃全部、物理じゃん」
…マミ、もう黙れ。
「「そういえばレンレンは永久追放でしたよね?ここに居て大丈夫なのですか?」」
「大丈夫よん。あのモーモーうるさいい、あいつが来たら焼いて食べてやるわん」
あっ、レンレンだめだ!それはフラ……
「呼んだか?」
遅かった。声がした方を振り返るが、何もいない。レンレンの言い方だと牛が来るかと思ったよ、俺は。
「コーセー下よ」
うん?
「………カエルじゃねーか!!」
「カエルじゃない。我はウシガエルだ」
「…マミ遊んであげなさい」
牛じゃないウシガエルがマミにドナドナされていった。今は構っていられない。
「で、エマ。問題のこれだ」
俺は半泣きで、マミがサイドミラーを折りかけた(というか折った)デロリ◯ンを指差す。
「これ、俺がいた世界の映画に出てくるタイムマシンにそっくりなんだよ。時空旅行してる『馬鹿』の仕業か、あるいは……」
その時、神殿の重厚な扉が内側から勢いよく開いた。扉から現れたこの2人が多分、過去と未来を司る大精霊なのだろう。
「キアラ、ノッテこの2人が過去と未来を司る大精霊で間違いないか?」
「「え?違うわよ。その2人は知らないわ。誰かしら?」」
「我は精霊王で偉大なんだぞー。子供の相手をさせるでなーい」
マミから逃げ出した精霊王も戻ってきた。マミはいつの間にかサイドミラーを直そうと、何やら錬金術?を使っている。うん、直るならいいや。って、
「………カオスすぎんだろー!!」
俺の叫びは、二つの太陽が照らす精霊界に虚しく木霊する。
目の前には、サイドミラーが直り?はしゃぐマミ。その足元で「離せー!我は偉大なる精霊王だぞーモー!」とレンレンに踏まれ暴れるウシガエル。
そして神殿の扉から出てきた、謎の二人組。
「キアラ、ノッテ。この2人、過去と未来の精霊じゃないのよね?」
「「お姉様、知りませんわ。シカト、一択に限りますわ」」
すると、扉の前に立っていた謎の二人組が、ギャーと叫び声をあげた。え?何でマリンはナイフ突きつけてるの!?
「待て待て待て、マリンはやまるな!何があったんだ!?」
「この二人は部外者なのでしょ?それに、私たちに殺気を向けてきたので、ご退場頂こうかと。二人がいなくなれば少しはこのカオスがおさまるわ」
「死体が増えたら余計にカオスだよ!」
「……ねえ、コーセー。もう帰って休日の続きを楽しまない?」
エマ。やっぱり俺達の気持ちは通じ合うんだな。俺も帰りたい。
「あー、エマ様〜。その2人は神界から派遣されたタイムパトロールの人達ですよー」
アカリが新情報をぶっ込んできた。これはあれだ。いっかい話を整理しないとダメだ。よし!俺は気合を入れて声をだす。
「はい、全員集合!!」




