ショッキングピンク
「……嘘じゃろ、わしが蜂? の、の、Noooo――っ!」
「……うるせえ。俺だって蜂なんだよ。しかもピンクの蜂ってなんだよ、ファンシーすぎて逆に浮いてんだろ俺!」
異世界転送ゲートに吸い込まれた俺たちは、今、必死に現状把握に努めていた。
森の切れ目にあった湖のほとり。鏡のように静かな水面に映る自分たちの姿を見て、俺の、いや俺たちの魂が絶叫した。
「わしの、わしの美しい和服が……! 縞々の毛むくじゃらになっておる! しかもなんじゃこの腹は、膨らみすぎじゃ! 悪趣味なタイツを履かされた気分じゃぞ!」
「あんたはまだいいだろ、大型犬サイズで威圧感あるし、なんかカッコいいし! 俺なんかピンク、ショッキングピンクだぞ。脚も6本てなんだよ、多すぎて歩き方がわかんねぇ。右、左、右……ああっ、絡まった!」
俺が水際でジタバタともがいていると、大型犬サイズの女王蜂――こと閻魔が、ブブンッと羽を震わせて俺を見下ろしてきた。
「案ずるな幸成。わしが女王蜂で、貴様は働き蜂じゃ。つまり、ここでの主従関係はわしが上ということじゃな。ププッ、苦しゅうない、早くあっちの花から蜜を吸うてきて献上するのじゃ!」
「ざっけんな! ニートの次はブラック労働かよ! そもそも閻魔のくせにそんなデカい身体で飛べるのかよ。航空力学が泣いてるぞ」
閻魔が羽を動かし飛ぼうとする。が、地面より少し浮いただけ。
「……。よいか、真の王は自ら飛ばぬもの。配下にすべてをさせるのじゃ。さあ幸成、貴様がわしを満足させよ」
「飛べねーのかよ! 誰が配下だ!てか閻魔ならこの状況なんとか出来ねーのかよ」
「おお、
そっ、そうじゃ。ステータス」
閻魔の前に異世界テンプレ、ステータス画面が表示された。よし、それなら俺も、
「ステータス」
「・・・」
「出ねーのかよぉー!?」
「ププッ、草生えた。貴様、ステータス画面すら出せぬのか。これだからニートは……」
閻魔が腹を抱えて笑いながら、自分の画面を俺の方へ向けてきた。
「ほれ、拝むがよい。わらわの神々しきステータスを。……ん? なんじゃこれは」
名前:エマ
種族:地獄のクイーンビー(元神族)
職業:見習い閻魔(無断欠勤中)
称号:生真面目な愚か者(ポンコツ神)、無断欠勤者、二堂幸成の保護者、堕ちた女神と書いて駄女神
スキル:死者の裁き(封印中)、神眼(鑑定のみ可、他封印中)、徳ポイント共有管理(手数料30%)、配下管理(現在1体)
徳ポイント:3pt(△300,000pt無断欠勤ペナルティ)
「おい……。手数料ってなんだよ。お前、俺のポイントからピンハネする気か!?」
「今、ツッコむところそこじゃないじゃろー!?わし、無断欠勤扱いになってるんじゃぞー。ヤバいヤバいヤバい
、また徳ポイントもってかれたのじゃあー。今月のしーはらーい」
俺は騒ぐ閻魔をよそに、もう一度、閻魔のステータスを確認する。見習い、ポンコツ、駄女神、こいつ落ちこぼれ系か。うん、これは?
「おい、ポンコツ神様」
俺が閻魔を呼ぶと、ポンコツに反応してこちらを睨んでくる。が、地獄にいた時の様な恐ろしい気配はない。ふふふ、これは反逆の狼煙を上げるチャンスだな。その為にもまずは確認が必要だ。
「なあポン、1番したの配下リストにある、二堂幸成の横に詳細マークついてるんだが俺のステータスみれるんじゃないか?」
「だれがポンじゃ。ええい、まあ良い。わしは今から地獄省に問い合わせをしなければならんから勝手に見とれ。ほれ」
閻魔がそういうと、俺の前にステータス画面が、表示された。




